個人再生の流れ13ステップ!必要書類ややってはいけないことも解説
投稿日: 2025.04.10 | 更新日: 2025.04.10

「個人再生はどんな流れで進めるべき?」
「個人再生の必要書類ややってはいけないことが知りたい」
個人再生を検討しているものの、具体的な進め方がわからず悩んでいる人もいるでしょう。
個人再生は必要書類が多く、手続きも複雑なため、正しく進めないと失敗してしまう恐れもあります。
そこでこの記事では、個人再生の流れを13のステップごとに解説します。
必要書類ややってはいけないことも紹介しているため、個人再生を成功させた借金を減らしたい人は、ぜひ参考にしてください。
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個人再生の流れ13ステップ

個人再生の進め方は、次の13ステップです。
- ステップ1:専門家への相談
- ステップ2:受任通知の発送
- ステップ3:債権調査と引き直し計算
- ステップ4:申立書類の準備
- ステップ5:裁判所への申立て
- ステップ6:面談もしくは書類審査の実施
- ステップ7:履行テストの実施
- ステップ8:再生手続きの開始決定
- ステップ9:債権の届出
- ステップ10:再生計画案の作成と提出
- ステップ11:再生計画案に対する決議・意見聴取
- ステップ12:再生計画認可決定
- ステップ13:返済スタート
それぞれくわしく解説します。
ステップ1:専門家への相談
まずは弁護士や司法書士など、債務整理の専門家へ相談します。
無料相談を受け付けている場合がほとんどのため、複数の事務所を比較して自分に合ったところを選んでください。
正式な依頼が決まったら契約書を交わし、着手金を支払います。
着手金は20〜40万円程度で、多くの事務所が6〜12回の分割払いに対応しています。
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個人再生に強い弁護士の選び方とおすすめ事務所5選!(※公開前)
ステップ2:受任通知の発送
着手金を支払うことで正式な依頼となり、即日もしくは翌営業日には、弁護士が代理人になったと債権者に伝える「受任通知」が送付されます。
受任通知が送られた時点で、債権者は督促や取り立てができなくなるため、精神的なストレスからも解放されるでしょう。
ステップ3:債権調査と引き直し計算
続いて、債権調査と引き直し計算をします。
まずは弁護士が債権先へ、これまでの借金の取引履歴を開示請求します。
送られてきた債権調査票をもとに、現在の利率で借金の計算をやり直す「引き直し計算」を行い、借金額を確定させるのです。
もし、過去に払いすぎた過払い金があれば債権者へ請求し、取り戻すこともできます。
ただし、過払い金請求は別途弁護士費用がかかる場合があるため、あらかじめ弁護士に確認しておくと良いでしょう。
ステップ4:申立書類の準備
続いて、裁判所へ申立てるための書類を準備し、申立書を作成します。
財産関係の多くの書類が必要になるため、このあとの「個人再生の必要書類」の見出しを参考に準備してください。
財産や収支を調査した上で、「小規模個人再生」と「給与所得者再生」のどちらにするか決定します。
なお、住宅ローン特約を利用して家を残したい場合は、このタイミングで銀行に連絡を入れる必要があります。
ステップ5:裁判所への申立て
書類が用意できたら、管轄の裁判所に申立書を提出し、個人再生を申立ててください。
この際、手数料として3万円程度がかかります。
加えて、東京地裁など全件で個人再生委員が選任される裁判所では、報酬として15〜25万円程度が必要です。
個人再生委員がつくかは、地域や個別の事情により異なるため、費用が心配な人は弁護士に確認しておくと良いでしょう。
ステップ6:面談もしくは書類審査の実施
個人再生委員が選任される場合は、このタイミングで面談を実施します。
面談では、債務や収入の状況など申立書の内容に問題がないかや、再生計画に沿った返済ができるかをチェックされます。
面談がない場合は書類審査が実施され、必要があれば追加の書類提出を求められる場合もあるでしょう。
ステップ7:履行テストの実施
面談もしくは書類審査が済んだら、履行テストを実施します。
履行テストは再生計画に基づいて確実に返済できるかをテストするもので、6ヶ月間(計6回)にわたって行われます。
この際の振込金額は、再生計画で決めた毎月の返済額と同じです。
ステップ8:再生手続きの開始決定
履行テストで1回目の支払いが確認できると、個人再生の開始決定となります。
申立てから約1ヶ月で決定にはなりますが、履行テストの途中で支払いを止めてしまうと許可が降りない可能性もあるため注意してください。
ステップ9:債権の届出
開始決定が出ると、裁判所から債権者に債権の届出をするよう通知されます。
届け出をもとに借金額を改めて確認し、債権者と債務者(自分)の双方に意義がなければ、債権額が確定されます。
ステップ10:再生計画案の作成と提出
債権額が確定したら、それをもとに再生計画案を作成し提出します。
再生計画案に記載する内容は、月々の返済額や返済期間、住宅資金特別条項の利用の有無などです。
返済計画表とともに、期限内に裁判所と個人再生委員へ提出してください。
ステップ11:再生計画案に対する決議・意見聴取
その後、提出した再生計画案に対する書面決議もしくは意見聴取が行われ、債権者にも通知されます。
認可のためには、給与所得者等再生では意見を聞くのみで同意は不要ですが、小規模個人再生では債権者の過半数の同意が必要です。
ステップ12:再生計画認可決定
意見書をもとに、再生計画を認可するか、不認可にするかを裁判所が決定します。
認可決定となれば、その旨が国の広報誌である官報に掲載され、2週間後に確定し、個人再生の手続きが終了します。
ステップ13:返済スタート
再生計画の認可決定が出た翌月から、3〜5年かけて返済が始まります。
履行テストで積み立てていたお金は、個人再生委員報酬をのぞいて返還されるため、そのまま返済にあてると良いでしょう。
完済までは、毎月滞りなく支払いを続けることが大切です。
何度も延滞が続くと再生計画が取り消され、一度は減額された債務が元に戻ってしまう恐れもあるため注意してください。
きちんと返していけるか不安な場合は、弁護士を通して返済する弁済代行の利用も検討すると良いでしょう。
個人再生手続きにかかる期間

個人再生の手続きには、合計で半年~1年程度かかります。
かかる期間の目安は次のとおりです。
内容 | かかる期間 |
準備 | 最短で2ヶ月〜 |
申立て〜再生手続開始決定 | 約2週間 |
債権額の申告 | 約1ヶ月 |
債権の届出 | 約2週間 |
再生計画案の提出 | 約1週間 |
書面決議・意見聴取 | 約2週間 |
再生計画認可決定〜確定 | 約1ヶ月 |
まず、弁護士に依頼してから裁判所へ申立てるまで、準備期間として約2ヶ月かかります。
申立て後は期限が設定される手続きとそうでない手続きがあり、かかる期間は人によって大きく異なります。
一般的には、申立てから認可決定まで6ヶ月程度が目安となるでしょう。
ただし、個人再生委員が選任されない場合は手続きが減るため、3ヶ月程度まで短縮できる可能性があります。
スムーズな手続きのためには、必要書類を不足なく集めることや、個人再生の実績が豊富な弁護士に依頼することが重要です。
個人再生で準備しておくべき費用

個人再生でかかる費用相場は、50~100万円程度です。
内訳は、弁護士費用として30〜60万円程度、裁判所費用として3〜30万円程度がかかります。
弁護士費用は、住宅ローン特則を使うとやや高くなる傾向です。
裁判所費用は、個人再生委員を選任しない場合は3万円程度で済みますが、選任する場合は15〜25万円程度がかかります。
くわしくは以下の記事でも解説しているため、参考にしてください。
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個人再生の必要書類

個人再生手続きで必要になる書類は、以下の2種類です。
- 裁判所から取り寄せる書類一覧
- 自分で用意する書類一覧
1つずつ解説します。
裁判所から取り寄せる書類一覧
裁判所から取り寄せて記入する書類は次のとおりです。
- 申立書(陳述書)
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 家計表
申立書は氏名・住所などの基本情報のほか、借金の理由や生活状況などを説明する書類で、陳述書とセットになっている場合もあります。
債権者一覧表や財産目録、家計表は、必要となる書類を集めたのちにひな型に沿って記載してください。
自分で用意する書類一覧
自分で用意する書類は次のとおりです。
分類 | 種類 | 内容 |
収入関連書類 | 源泉徴収票 | 直近1年分 |
給与明細書 | 直近2〜3ヶ月分 | |
賞与明細書 | 直近1年分 | |
確定申告書 | 直近2年分 | |
公的給付の証明書 | ・生活保護 ・年金 ・児童手当など(※該当者のみ) | |
資産関連書類 | 預貯金通帳 | 直近2年分: 紛失した場合は再発行が可能 |
生命保険証券・解約返戻金計算書 | 生命保険に加入している場合 | |
不動産関係書類 | 不動産を持っている場合: ・登記簿謄本 ・固定資産評価証明書 ・不動産評価書類など | |
自動車関連書類 | 自動車を持っている場合: ・車検査証 ・自動車価格査定書など | |
その他の必要書類 | 住民票 | 原本: ・3ヶ月以内に発行したもの ・世帯全員と本籍を記載したもの |
退職金計算書 | ||
家計収支表 | 家計簿など:直近2ヶ月分を自分で作成 | |
家計に関する領収書 | 光熱費・通信費など |
個々の状況によって用意すべき書類が異なるため、1つ1つ弁護士に確認しながら行うのがおすすめです。
個人再生の認可までにやってはいけないこと一覧

個人再生を申立てて認可されるまでは、以下のことをやらないように注意してください。
- 特定の債権者へ優先して返済する
- 嘘の内容を申告する
- 新たな借入をする
- 書類提出期限を守らない
- 返済テストを軽視する
それぞれくわしく解説します。
特定の債権者へ優先して返済する
個人再生において、特定の債権者にだけ優先的に返済し、これが発覚すると裁判所に不公平と判断される可能性があります。
これを「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といい、その分が上乗せされて返済額が上がったり、申立てが却下されたりするリスクがあります。
「友人や家族への借金なら先に返してもいいだろう」などと安易に判断せず、弁護士の指示に従ってください。
嘘の内容を申告する
収入や財産、借金の状況について、弁護士や裁判所に嘘の内容を申告することも避けるべきでしょう。
弁護士との信頼関係を失って辞任されたり、財産隠しとみなされて申立てが却下されたりする恐れがあります。
手続き中に、弁護士や裁判所の担当者、個人再生委員などに説明を求められた場合も、提出済みの書類と矛盾なく説明できるようにしておいてください。
新たな借入をする
個人再生手続き中の新たな借入は、民事再生法で禁じられています。
再生計画は申立て時の借金額で計算されているため、再生計画が狂うもとになってしまいます。
それだけでなく、「返済していく気がない」と判断され、認可が下りないことも十分に考えられるでしょう。
申立て後の収支はすべて報告する義務があるため、バレることはまず避けられません。
個人再生を認可してもらうためにも、当面は手持ちのお金で乗り切るよう工夫してみてください。
書類提出期限を守らない
個人再生で必要になる書類は、裁判所が定めた期限内に提出する必要があります。
中でも、再生計画案の提出が遅れると手続きが廃止されてしまうため、注意が必要です。
また、書類に不備や間違いがあった場合も期限内に修正しなければならないことから、早め早めの提出がおすすめです。
返済テストを軽視する
個人再生手続き中の履行テストをきちんと行わない場合、手続きが認められなくなる可能性があります。
履行テストは、6ヶ月間にわたり毎月返済できるのかをチェックするものです。
もし支払いが遅れると、「返済能力がない」と判断されてしまうでしょう。
テストだからと軽視せず、必ず期限を守った入金を心がけてください。
ほかの債務整理と個人再生の違い

ここでは、個人再生以外の債務整理の方法を紹介します。
- 任意整理
- 自己破産
それぞれの違いを知り、本当に個人再生が自分に最適かどうかチェックしてみてください。
任意整理
任意整理は裁判所を通さず、債権者と直接交渉して将来利息や損害遅延金のカット、返済期間の延長などを求める手続きです。
裁判所手続きがないことから費用を抑えやすく、相場は債権先1社あたり5〜15万円程度で、かかる期間も3〜6ヶ月程度と短めです。
また、整理する借金を選べるため、保証人がついた借金を外したい場合にも向いています。
ただし、元金は減らないため大幅な減額は見込めません。また、和解後も3〜5年の支払いが続くことから、安定した収入がないと利用は難しいでしょう。
くわしくは、以下の記事も参考にしてください。
▼関連記事
任意整理とは?後悔しないために知っておきたいメリットや注意点などわかりやすく解説!
自己破産
自己破産は裁判所に申立てて、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
利用するには、支払い不能状態であることなど、いくつかの条件を満たさなければなりません。
車や家などの高額な財産は処分されますが、99万円以下の現金や20万円以下の財産、生活必需品などは手元に残せます。
手続きには半年~1年ほどかかり、費用の目安は30〜60万円程度です。
ただし、浪費やギャンブルによる借金などの免責不許可事由があると、認められない場合もあります。
くわしくは、以下の記事も参考にしてください。
▼関連記事
自己破産したらどうなる?費用や流れなど基礎知識をわかりやすく解説
個人再生の流れを確認して正しく行おう

個人再生の手続きは行程が多く複雑なため、全体の流れを確認しておく必要があります。
必要な書類ややることも多く、裁判所が定めた期限内に行わなければならないことから、スケジュール管理をきちんと行ってください。
弁護士に依頼してから申立てまでの準備だけでも約2ヶ月、申立てから認可までは約6ヶ月と、長期間に渡って手続きが進められます。
この間は履行テストをきちんと行う、新たな借入をしないなどに気をつけ、返済能力があると認めてもらうことが大切です。
再生計画を認可してもらえるよう、正しい流れで手続きを進めてください。
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