個人再生すると車はどうなる?残せるケースや残す方法を解説!
投稿日: 2025.04.10 | 更新日: 2025.04.10

「車を残したまま個人再生できる?」
「個人再生しても車を使う方法が知りたい」
個人再生は、裁判所を通じて借金を5分の1〜最大10分の1まで減額できる手続きです。
持ち家がある場合、ローンが残っていても、住宅ローン特則を利用すれば家を手元に残せます。
一方で、ローンが残っている車は手放さなければならない可能性があるため、条件や対策を理解しておくことが大切です。
この記事では、個人再生で車を残せるケース、残せないケースをそれぞれ紹介します。
車を残すためにできる対策や、個人再生後でも車を使う方法も解説するため、参考にしてください。
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個人再生で車を残せる3つのケース

個人再生で車を残せる3つのケースは次のとおりです。
- ローンを完済もしくは一括購入した
- ローンはあるが所有権留保がない
- 配偶者や家族の名義である
それぞれ詳しく解説します。
1.ローンを完済もしくは一括購入した
車のローンを完済している、もしくは一括購入した場合、車は手元に残せます。
支払いが終わっている車は購入者の財産として認められ、所有権を持てるためです。
2.ローンはあるが所有権留保がない
車のローンが残っていても、所有権留保が設定されていない場合は、車を回収されることはありません。
所有権留保とは、代金の完済まで、所有権は購入者ではなく販売者に残っている状態をいいます。
一般的なローンでは所有権留保が設定されますが、銀行などで「担保不要型」の自動車ローンを組んだ場合は、所有権留保が設定されていないケースがあります。
車検証の「所有者」の欄に自分の氏名が書かれていれば車を残せるため、確認してみてください。
3.配偶者や家族の名義である
個人再生をする本人ではなく、配偶者や家族名義の車であれば、引き上げられることはありません。
家族で使用している車がある場合は、車検証で名義が誰になっているかチェックしてみるのがおすすめです。
個人再生で車を残せない2つのケース

個人再生で車を残せない2つのケースは、次のとおりです。
- ローンが残っており所有権留保がある
- リース契約中である
それぞれ詳しく解説します。
1.ローンが残っており所有権留保がある
車のローンがまだ残っていて、所有権がローン会社やディーラーにある場合、車を残すのは難しいでしょう。
オリコやトヨタファイナンスなど、ディーラーと提携しているローン会社の多くは、返済が滞ったときの担保として所有権留保を設定しています。
車検証の「所有者」の欄に、ローン会社やディーラーの名前が書かれていれば、所有権留保が設定されていると判断できます。
2.リース契約中である
車をリース契約で使用している場合も、個人再生すると手放すことになるでしょう。
カーリースは、リース満了時の残価をあらかじめ設定し、差し引いた金額を月額料金として支払う「残価設定型」が主流です。
カーリースでは、リース満了時に残価を支払うまで所有権は自分にはなく、あくまで借りている状態です。
個人再生すると返済が滞ったと判断されるため、リース契約は解約となり、車も没収されてしまいます。
車が引き上げられる時期は受任通知送付から1ヶ月程度

個人再生で車が引き上げられるのは、手続きの開始からおよそ1ヶ月後です。
弁護士に個人再生を依頼し、債権者へ受任通知が送られると、その時点で車の引き上げの手続きも開始されます。
債権者やローン会社が車の回収を決定し、2週間程度で通知が届きます。
その後、3週間〜1ヶ月程度で実際に引き上げが行われる流れです。
それまでに、車内の整理や掃除などを進めておく必要があるでしょう。
車を残して借金を整理するためにできること

車を残して借金を整理したい場合にできることは、次のとおりです。
- 任意整理を検討する
- 別除権協定を交渉する
- 第三者弁済で完済する
1つずつ詳しく解説します。
任意整理を検討する
まず、個人再生ではなく、任意整理で借金を整理する方法が考えられます。
任意整理は債権者と直接交渉し、将来利息や遅延損害金のカット、返済期間の延長などを求める手続きです。
任意整理では整理する借金を選べるため、車のローン会社を対象から外すことで、引き続きローンを支払いながら車を使えます。
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任意整理とは?後悔しないために知っておきたいメリットや注意点などわかりやすく解説!
別除権協定を交渉する
債権者に「別除権協定」を交渉する方法もあります。
別除権協定とは、ローンを支払うかわりに車を残してもらうよう、ローン会社と約束を結ぶことです。
個人再生では、特定の債権者のみに借金を返済する「偏頗弁済(へんぱべんさい)」が禁じられているため、別除権協定を結ぶには裁判所の許可が必要になります。
ただし、「車がないと生活に不便だから」という程度の理由では認められないケースがほとんどです。
別除権協定を結べるのはトラックやタクシーの運転手など、車がないと収入に影響して個人再生ができなくなるような場合に限られる点に注意してください。
第三者弁済で完済する
第三者弁済で車のローンを完済してから個人再生することでも、車を手元に残せます。
第三者弁済とは、個人再生をする本人ではなく、第三者が代わりに借金を返済する方法です。
本人が個人再生前にローンを完済しようとすると、偏頗弁済にあたるとみなされ、個人再生の申立がとおらない可能性があるのです。
家族・親戚・知人などに代わりに支払ってもらって車のローンを完済できれば、個人再生にも影響がありません。
第三者弁済で車を残す場合の注意点

第三者弁済で車を残したい場合は、支払い方に注意が必要です。
第三者弁済は、親・兄弟・親戚・知人などに依頼するのが一般的です。
しかし、同じ家に住んでいる家族に頼むと「同一の家計である」と判断され、自身が支払ったと同じとみなされる恐れがあります。
すると、偏頗弁済したとして個人再生できなくなるリスクがあるため、自身が一切関与しないところから支払うことが重要です。
もし親戚から援助を受ける場合でも、自分の口座は通さず、親戚から直接ローン会社へ支払ってもらうといいでしょう。
また、この際に車の名義を自分から親戚などに変更すると、「財産隠し」とみなされる恐れがあるため注意してください。
個人再生しても車を使う方法

個人再生しても車を使う方法は次のとおりです。
- 現金一括購入で取得する
- 家族に購入してもらう
それぞれ詳しく解説します。
現金一括購入で取得する
個人再生後に車を使う方法の1つは、現金一括で購入することです。
個人再生すると、完済から5〜7年は信用情報に事故情報が登録され、いわゆるブラックリストに載ってしまいます。
その間は、クレジットカードの作成や自動車ローンの借入をしようとしても、審査に落ちてしまうことがほとんどです。
毎月費用をコツコツ積み立てる、中古で状態のいいものを探すなどの工夫をすれば、借金返済中でも車の取得は不可能ではないでしょう。
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債務整理のブラックリストはいつ消える?期間やリスクを徹底解説
家族に購入してもらう
現金を用意できないなど、自力での購入が難しい場合は、家族に購入してもらう方法が考えられます。
家族名義で車を購入すれば、ブラックリストの影響はありません。
もしくは、もともと家族が乗っている車がある場合は、必要なときだけ借りて凌ぐことも可能です。
ブラックリストから事故情報が消え、再び車のローンが組めるようになるまでは、できる方法で対処してみてください。
個人再生で車を残すには正しく手続きしよう

個人再生では、車を残せるケースと残せないケースがあるため、あらかじめ条件を把握しておくことが重要です。
個人再生する前に、車のローンを完済しているのか支払い中なのか、所有権が自分なのかローン会社なのかをしっかり確認しておいてください。
車を残したい場合は、任意整理する、別除権協定を交渉する、他の人にローンを支払ってもらうなどの方法を検討するといいでしょう。
個人再生したあとはローンが組めないことから、現金一括で購入するか、家族に購入してもらう必要があります。
状況によってどの方法がいいかは異なるため、弁護士への無料相談を活用して、まずは自分の状況を診断してもらいましょう。
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