債務整理の費用を払えないとどうなる?対処法を徹底解説

「債務整理を予定しているが弁護士費用を払えないかもしれない」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
弁護士費用が払えない場合、状況に応じていくつかの対処法があります。
この記事では、弁護士費用の支払いに不安を感じている方に向けて、債務整理の費用相場や払えない場合のリスク、対処法を詳しく解説します。
債務整理にかかる費用の相場
債務整理にかかる費用の相場は次の通りです。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
弁護士費用 |
・相談料:0円〜 ・着手金:25,000円〜 ・報酬金:減額報酬 / 減額分の11%〜 解決報酬 / 1社22,000円 過払い金報酬 / 訴訟あり22%・訴訟なし27% |
300,000円〜600,000円 | 300,000円〜600,000円 |
裁判費用 | なし |
25,000円〜 ※ 代理人弁護士が付いていない場合 |
同時廃止事件:22,000円〜 管財事件:200,000円〜 |
このように、債務整理にはある程度の費用がかかります。
また、主な弁護士費用の内訳と支払いのタイミングは、以下のとおりです。
弁護士費用の内訳 | タイミング |
相談料 | 相談時 |
着手金 | 依頼時(委任契約書作成のタイミング) |
報酬金 | 解決後 |
実費 | 解決後 |
日当 | 解決後(出張や裁判所への出頭で発生) |
債務整理の種類によって費用は異なるため、ご自身の状況に合わせて適切な手続きを選択することが重要です。
債務整理の費用についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。
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債務整理費用が払えないと弁護士に辞任される
弁護士費用を支払えないと、弁護士が辞任してしまう可能性があります。
弁護士が辞任してしまうと、債務整理手続きは中断し、債権者(クレジットカード会社など)からの取り立てや督促が再開してしまいます。
債務整理は、債権者との約束や期限があります。そのため、何度も支払いが遅れたり、未払いが発生すると期限に間に合わなくなったり、誠意のある姿勢ではないと判断されかねません。
一度の支払い遅れで即辞任というケースは稀ですが、支払いが難しい場合は事前に相談するのがオススメです。
債務整理の費用が払えない場合の対処法とは
債務整理の費用が払えない場合、以下のような対処法があります。
- 分割払い(積立)ができる法律事務所を探す
- 返済を一時停止している期間に積み立てる
- 法テラスを利用する
- 自分で債務整理を行う
それぞれの対処法を詳しく解説します。
分割払い(積立)ができる法律事務所を探す
ほとんどの法律事務所は依頼者の経済状況を考慮し、費用の分割払いや積立といった方法を受け付けてくれる可能性が高いです。
ですので、費用の支払いについては、依頼前にしっかり支払い計画の相談に応じてくれる法律事務所に依頼することをおすすめします。
弁護士との信頼関係を築くためにも、支払い計画を立てた場合は必ず守る必要があります。
返済を一時停止している期間に積み立てる
債務整理の手続きが始まると、弁護士から債権者へ「受任通知」が送付されます。
受任通知とは、弁護士が債務整理の代理人として選任されたことを債権者に知らせる通知です。
この通知が届くと、債権者は直接債務者に連絡を取ることができなくなり、返済も一時的に停止されます。
任意整理の場合の一時停止期間は、3〜6か月程度です。
この返済が停止されている期間を利用して、毎月返済に充てていた金額を積み立てていくことで弁護士費用を捻出できます。
法テラスを利用する
法テラスとは、経済的に困窮している人を対象に、無料で法律相談を受けられたり、弁護士費用の立替制度を利用できたりする公的な機関です。
法テラスの立替制度を利用すると、弁護士費用を立て替えてもらえます。
法テラスの利用条件は、後ほど「法テラスの利用条件とは」の章で詳しく解説しています。
弁護士費用の支払いが難しい方は、法テラスに相談してみるのもよいでしょう。
自分で債務整理を行う
債務整理は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼せずに、自分で行うことも可能です。
ただし、債権者と交渉したり、裁判所へ書類を提出したりする際には、ある程度の交渉力や法律知識が必要となります。
また、専門家のように手続きに精通していないため、手続きがスムーズに進まなかったり、失敗してしまったりする可能性もあります。
自分で債務整理を行えば債務整理費用は不要ですが、リスクも伴います。
費用はかかりますが、手続きをスムーズに進めるためには、専門家である弁護士や司法書士に依頼するのがよいでしょう。
法テラスの利用条件とは
法テラスとは、経済的に困窮している方を対象に、法律相談や弁護士費用の立替などのサービスを提供している公的な機関です。
法テラスのサービスを利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。主な利用条件は以下のとおりです。
収入の基準 |
家族構成や居住地域に応じた基準額以下であること |
資金の基準 |
貯金や預貯金が一定額以下であること |
その他 |
・問題解決の見込みがあること ・嫌がらせや権利濫用的な訴訟ではないこと |
以下で、それぞれの利用条件について詳しく解説します。
収入の基準
法テラスを利用するには、申込者とその家族の収入が一定の基準を下回っている必要があります。
この基準は、居住地域や家族人数によって異なります。
収入の基準は次のとおりです。
居住人数 | 収入の基準 | |
東京都特別区・大阪市などの地域 | その他地域 | |
1人 | 200,200円 | 182,000円 |
2人 | 276,100円 | 251,000円 |
3人 | 299,200円 | 272,000円 |
4人 | 328,900円 | 299,000円 |
上記以上の同居家族がいる場合、1名増えるごとに東京都特別区・大阪市などで33,000円、その他地域では30,000円が加算されます。
この基準を満たしていないと、法テラスを利用できないため注意が必要です。
資金の基準
法テラスを利用する際は、収入だけでなく、申込者やその配偶者が保有する現金や預貯金などの資産も、一定の基準を下回る必要があります。
資金の基準は次のとおりです。
居住人数 | 資産基準(全ての地域で共通) |
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人 | 300万円以下 |
ただし、家賃や住宅ローンなど、生活費に多くのお金がかかっている方は、収入が基準額を超えていても法テラスを利用できる場合があります。
個々の事情によって考慮して判断されるため、諦めずに相談してみるのもよいでしょう。
その他の条件
収入や資産の基準に加えて「勝訴の見込みがないとはいえないこと」と「民事法律扶助の趣旨に適すること」という条件も満たす必要性があります。
勝訴の見込みとは、裁判で勝てる可能性のことです。自己破産を例に上げると、裁判所に借金に免責をみとめてもらえる見込みがある場合が対象です。
法テラスの支援によって問題が解決する見込みがあるかを判断するために審査されます。
また、嫌がらせや権利の濫用を目的とした訴訟などは、援助の対象外です。
法テラスの利用を希望する場合は、上記のような条件を満たしているかどうか、事前に確認しておきましょう。
債務整理中の支払いが滞らないために
債務整理中、弁護士費用や毎月の返済が滞らないような対策として、次のような内容が挙げられます。
- 家計管理を徹底する
- 副業をする
- 相談しやすい事務所を探す
- 法テラスを利用する
- 財産を売却する
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
家計管理を徹底する
家計管理の方法としては、家計簿をつけるのがオススメです。今はスマホでも簡単に家計簿をつけられるアプリがたくさんあります。
また、デビットカードやQRコード決済などお金の流れが見えにくい決済方法ではなく、できるだけ現金で支払うことも検討するのもよいでしょう。
現金であれば目視での管理もしやすく、無駄遣いを減らせる可能性があります。
副業をする
弁護士費用や債務整理後の返済を滞りなく行うためには、収入を増やすことも有効な手段のひとつです。
現在の収入で支払いが難しいと感じる場合は、タイミーやシェアフルなどを使って、副業やスキマ時間に短期のアルバイトなどを検討してみるのもよいでしょう。
副業で得た収入を弁護士費用や債務の返済に充てることで、経済的な負担を軽減できます。
法テラスを活用する
前述の通り、法テラスは経済的に困窮している人を対象に、無料で法律相談を行っている公的な機関です。
利用条件の基準に満たす必要がありますが、一度相談することで解決への糸口が見つかるかもしれません。
債務整理の費用が払えないと不安に感じている方は、まずは法テラスに相談してみるのもよいでしょう。
財産を売却する
債務整理の返済費用や弁護士費用が払えない場合、不動産や自動車などの財産を売却するという手段も考えられます。しかし、破産手続きでは、財産の売却が裁判所から不正行為として疑われる可能性があります。そのため、財産を売却する前には、必ず弁護士に相談してください。事前に適切なアドバイスを受けずに行動すると、不利な状況に陥るリスクがありますので注意が必要です。弁護士に相談することで、最適な解決方法を見つける手助けとなります。
「債務整理費用が支払えない」に関するQ&A
「債務整理の費用が払えない」というお悩みについて、よくある質問にお答えします。
債務整理を検討している方は、参考にしてください。
Q1.|任意整理費用30万円は妥当な額ですか?
任意整理の費用は、債権者の数や借金の総額、事案の複雑さによって異なります。
複数の債権者に対して任意整理を行う場合や、とくに複雑な案件である場合には、30万円という費用は妥当だといえるでしょう。
ただし、任意整理の費用は弁護士事務所によって異なります。
複数の事務所に見積もりを依頼し、比較検討してください。
Q2.|債務整理費用を今月だけ払えない場合はどうしたらいい?
弁護士費用を積立中であれば、弁護士と相談してみると待ってくれる可能性はあります。
ただし、何度も払えない場合は返済計画自体を見直したほうがいいかもしれません。
債権者への債務の返済の場合、一回の支払い遅れですぐに債務整理手続きが中断される可能性は少ないですが、2ヶ月以上支払いが滞ってしまうと、残りの金額を一括で請求される可能性があります。
支払いが困難な場合は、早めに弁護士に相談し、解決策をみつけましょう。
Q3.|債務整理中支払いが厳しい場合はどうしたらいいですか?
債務整理中、病気や失業などで支払いが厳しくなった場合は、諦めずに弁護士に相談するのがオススメです。
任意整理の場合、債権者と再度交渉し返済条件の変更を依頼できる「再和解」という方法があります。
再和解が難しい場合は、個人再生や自己破産で再度整理することも可能です。
返済費用を払えない状況になった場合は、すぐに弁護士に相談し、適切な解決策を見つけてください。
Q4.|高額な弁護士費用が払えそうにないですが方法はありますか?
分割払いが可能な弁護士事務所も多くあるため、まずは相談してみるとよいでしょう。
たとえば任意整理の場合、弁護士費用は比較的安く済みますが、元本は全て返済する必要があります。
自己破産の場合、弁護士費用が50万円以上になることもありますが、そのぶん借金は免除になります。
その場のデメリットばかりを考えず、将来的なメリットまで考え慎重に判断する必要があります。
債務整理の費用が払えない場合は、弁護士に相談しましょう
本記事では、債務整理の費用が払えないとお悩みの方に向けて、債務整理の費用や払えない場合のリスク、対処法を詳しく解説しました。
債務整理の費用が払えないと、弁護士が辞任したり、最悪の場合は給与や財産を差し押さえられてしまったりする可能性があります。
しかし、債務整理の費用が払えないからといって諦める必要はありません。
分割払いや後払いに対応してくれる弁護士事務所もありますし、法テラスを利用する方法もあります。
費用面で不安に感じている方も、まずは弁護士に相談することで、解決の糸口が見つかるはずです。
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