個人再生の陳述書とは?書き方や例文・提出の流れ・注意点などを紹介!
投稿日: 2025.05.20 | 更新日: 2025.05.20

「個人再生の陳述書って何?どのように書くの?」
「個人再生の陳述書の提出の流れは?」
個人再生の手続きを進める際に必要となる「陳述書」について、どのような書類なのか、どのように書けばよいのかとお悩みではありませんか?
本記事では、個人再生における陳述書の役割や書くべき内容、例文などについて詳しく解説します。また、陳述書を作成する際の注意点や、その他に必要な書類についても紹介するため、個人再生をお考えの方は、参考にしてください。
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個人再生に必要な「陳述書」とは?
陳述書は、借金をした具体的な原因や、返済が不可能となった事情などを記載する書類です。また、個人再生手続きを選択した理由や、生活態度を改めて借金問題を解決する意思など、申請者自身のことも記述する必要があります。

個人再生に必要な陳述書とは借金と自分の自己紹介のようなものです。
陳述書の書き方と例文
裁判所に提出する陳述書の主な項目は以下の通りです。
- 家族構成・経歴
- 職業・職歴
- 借金をした経緯
- 個人再生を申し立てた経緯
- 債権者に対する意見
以下で、具体的な書き方や例文を以下で紹介します。
家族構成・経歴
家族構成によって支出は異なりますし、学歴や結婚歴も申請者の収入状況などを把握するために必要なため記載します。これらの情報が外部に漏れることはまずないため、安心して記載してください。
結婚歴については、婚姻費用や離婚に伴う慰謝料・養育費などの支出につながることから、記載する必要があります。
例文
私は、平成〇年〇月〇日に出生し、平成〇年〇月に〇〇を卒業しました。家族構成は、妻と子どもがひとりいます。平成〇年に結婚をし、平成〇年に子どもが生まれました。離婚歴はありません。妻は子どもが生まれるまでは働いていましたが、現在は家事育児に専念するため、就業しておりません。
職業・職歴
個人再生は、手続き終了後も返済を続けていく手続きですから、現在の収入状況や今後の返済計画を検討するにあたり、就業状況はとても重要な判断要素になります。
例文
平成〇年〇月、株式会社〇〇に就職し、以来今日に至るまで、同社で営業職に従事しています。月の収入は〇〇万ほどで、ボーナスはありません。
借金をした経緯
ここでは、借金をした時期や金額、その理由などをできる限り具体的に記述するのが望ましいです。
例文
平成〇年ごろからパチンコに行くようになり、平均すると月2万円ほど、消費者金融から借入れをしていました。平成〇年に妻と結婚した際、さして貯金もなかったため、結婚費用として〇〇銀行から〇〇万円を借入れました。このころまでに、借金の総額は〇〇万円ほどになっていたと思います。毎月出来る限りの返済をしていましたが、月によっては利息だけを支払ったり、まったく返済ができないこともありました。
個人再生を申し立てた経緯
陳述書では、なぜ個人再生を申し立てたのかも記述する必要があります。
例文
本年〇月、返済が3ヶ月以上滞ったことにより、消費者金融の〇〇社から一括返済を請求されました。これまでずっと家族には借金のことを隠していましたが、〇〇社から督促状が届いたことにより、妻の知るところとなりました。そこで妻と話し合い、弁護士に相談に行ったところ、個人再生をして借金問題を解決してみてはどうか、と助言されました。
債権者に対する意見
比較的手続きが簡単なことから、サラリーマンであっても小規模個人再生を選択する人が多いです。最終的にどちらになるかは裁判所が決定します。
小規模個人再生では、債権者の2分の1以上が反対するなどすると、手続きを進められなくなってしまいます。そこで、債権者に対する意見を併記しておくのが望ましいでしょう。
例文
上述の通り、私が借金をした原因は、パチンコ癖と生来の計画性のなさに起因するものです。したがって、個人再生を認めていただいた暁には、ギャンブルからは足を洗い、計画性をもって家族を養っていきたいと考えています。債権者の皆様には多大なご迷惑をおかけいたしますが、なにとぞ私の個人再生をお認めいただきたく存じます。
個人再生の陳述書を提出するまでの流れ
個人再生の手続きの流れは以下の通りです。
- 弁護士や司法書士に依頼
- 受任通知の送付
- 過払い金返還請求
- 収支・財産の調査
- 個人再生申立書の作成
- 個人再生申し立て
- 債務履行テスト|約6ヶ月
- 個人再生委員との面談・手続き開始
- 債権の届け出・調査
- 再生計画案の作成・提出
- 再生計画案の決議
- 再生計画の認可・不認可
- 個人再生手続きの完了・計画にもとづいて返済開始
上記手順で陳述書の提出が必要なのは「⑥個人再生の申し立て」のタイミングです。個人再生の流れについては、以下の記事でも解説しているため、あわせて参考にしてください。
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陳述書を作成する際の注意点
陳述書を作成する際の注意点は、以下の通りです。
- 虚偽の記載をしない
- 誤字脱字をしない
- 弁護士に依頼する
以下で各注意点の内容を解説します。
虚偽の記載をしない
陳述書では、絶対に虚偽の記載をしてはなりません。特にプライベートな内容や借金をした経緯については、本当のことを隠したくなることもあるかもしれませんが、ウソを書いてはいけません。
もし後から虚偽の記載が発覚してしまったら、個人再生が失敗に終わってしまう可能性があります。そうなると、手続きにかかった時間もお金も無駄になってしまうため、必ず正しい内容を記述してください。
誤字脱字をしない
個人再生という、人生の中でもそうそうない機会に提出する書類に誤字脱字があれば、裁判官や債権者は「本当にこの人は大丈夫か」と思ってしまうでしょう。
誤字脱字は自分では気づきにくいため、陳述書を作成したら他の人にもチェックしてもらうことをおすすめします。
弁護士に依頼する
例文も紹介しましたが、どのような内容を記述すべきかは人によって異なるため、あくまで参考程度にしかなりません。
弁護士に依頼すれば、弁護士がいろいろと聞き取りを行って、清書までお願いできるため安心です。
他にも個人再生には必要な書類がたくさんある
個人再生で必要な書類は、主に以下の通りです。
裁判所から取り寄せる書類 | ・申立書・陳述書・債権者一覧表・家計表・財産目録 |
市役所等で取得する必要がある書類 | ・収支状況に関する書類・財産に関する書類・借金に関する書類 |
個人再生申し立て後に必要となる書類 | ・再生計画案・弁済計画表・積立状況等報告書・財産状況等報告書・債権者認否一覧表・異議書 |
弁護士に個人再生手続きを依頼すれば、基本的に弁護士が書類作成を代行してくれます。個人再生の必要書類に関しては、以下の記事もあわせて参考にしてください。
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必要書類に関するよくある質問
ここでは、必要書類に関するよくある質問に回答します。書類の不備で手続きに失敗しないように、注意点を押さえておくとよいでしょう。
書類が揃わないとどうなる?
必要書類が揃っていないと、手続きを開始してもらえません。しかし、例えば源泉徴収票を紛失してしまった場合は、役所で取得できる課税証明書で代用して、安定した収入があることを証明することも可能です。
書類を用意できない事情がある場合は、弁護士や裁判所に相談して、代替となる書類がないか確認するとよいでしょう。
書類の準備が期日に間に合わないとどうなる?
民事再生法では、再生計画案が期限内に提出されないときには、裁判官が手続きを終了させられる定められています。
仕事の都合などでどうしても期限内に用意できない場合は、弁護士に相談して書類作成のサポートを受けたり、裁判所に期限の延長を申請することも検討すべきです。
(再生計画認可前の手続廃止)
一部引用:民事再生法 – e-Gov
第百九十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、職権で、再生手続廃止の決定をしなければならない。
(略)
二 裁判所の定めた期間若しくはその伸長した期間内に再生計画案の提出がないとき、又はその期間内に提出されたすべての再生計画案が決議に付するに足りないものであるとき。
(略)
不備が見つかった場合はどうなる?
裁判所から一定期間内に補正するよう命じられます。書き損じで即座に手続きが打ち切られるほど厳しくはないため、安心してください。
ただし、補正は基本的に郵便でのやりとりとなるため、手続きに余計な時間がかかってしまいます。
記入内容に虚偽があった場合には、手続きが打ち切られる可能性があります。裁判所は様々な証拠から事実を推認するプロフェッショナルですので、多数の書類を提出する個人再生手続きでウソを通すことは困難です。
そのため、書類は正確かつ誠実に作成する必要があります。
まとめ
個人再生の陳述書は、借金と申立人の自己紹介ともいうべき特殊な書類です。記載内容には絶対に虚偽があってはならず、正直かつ正確に作成する必要があります。
個人再生には陳述書以外にも多くの書類が必要となりますが、書類作成に不安がある場合は弁護士に相談することで適切なサポートを受けられます。
紹介した例文はあくまで参考程度にとどめ、自分の状況に合わせた内容を記載するのが大切です。個人再生を成功させるためにも、必要書類の準備と作成は慎重に行いましょう。
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