引田法律事務所の時効援用が失敗するケースと対処法
投稿日: 2025.05.20 | 更新日: 2025.05.20

「引田法律事務所から請求が届いたけど、身に覚えがない……。詐欺かもしれないし、無視しても問題ない?」
と心配される方も多いのではないでしょうか。
引田法律事務所は、他社の借金を代理で回収する「債権回収」業務を行っています。身に覚えがない請求であっても、未払いの借金があって引田法律事務所から請求を受けている可能性があります。
引田法律事務所は、主に日本保証(旧:武富士)が持っている債権の回収を引き受けている法律事務所です。過去に武富士から借金をしていて未払い金が残っていた方は、時間が経ってから引田法律事務所から請求を受ける可能性があります。
この記事では、引田法律事務所から請求書が届いた際の対処法や時効援用が失敗するケース、失敗した場合の対処法などを詳しく解説します。借金問題でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
引田法律事務所とは?身に覚えのないしつこい請求は無視していい?
引田法律事務所とは、株式会社日本保証から債権回収の委託を受けている法律事務所です。株式会社日本保証は、旧武富士の消費者金融事業を吸収分割により承継しています。
そのため、過去に武富士から貸付を受けていた方は、引田法律事務所から支払いの督促が届くケースがあります。引田法律事務所から請求が届いた際には、「身に覚えがないし、架空請求だろう」と無視してはいけません。
放っておくと裁判を起こされて財産の差し押さえを受ける可能性もあるため、正しい対処をとる必要があります。
引田法律事務所から請求が届いた時の対処法
引田法律事務所から請求が届いた際の対処法は、以下の通りです。
- 通知の内容を確認する
- 時効が更新される行動をとらない
- 弁護士に相談して時効援用を検討する
以下で各対処法の詳細を解説します。
通知の内容を確認する
引田法律事務所から請求が届いたら、まずは通知の内容をしっかりと確認してください。通知の中には、「支払いの催告に係る債権の弁済期」などの表記で、最後の返済日が記載されているケースが多いです。
最後の返済日から5年以上が経過していれば時効が成立する可能性があるため、返済日を必ず確認してください。
また、引田法律事務所からの通知は、以下のようなタイトルで届きます。
- 通知書
- 受任通知書
- 特別なご提案
- 法的手続き移行通知 など
基本的には封書でポストに投函されていますが、まれに簡易書留で配達されるケースもあります。通知に記載された期日内に対処をしないと訴訟を起こされる可能性もあるため、不在票が入っていた場合には必ず再配達の手続きをとるとよいでしょう。
時効が更新される行動をとらない
消費者金融などの借金は、最後の返済日から5年が経過すると時効が成立し、正式な手続きをとれば支払う必要がなくなります。
引田法律事務所からの請求は、旧武富士から借りていたお金の督促であるケースが多いです。
旧武富士は2010年に倒産しているため、引田法律事務所からの請求は時効が成立する可能性が高いといえます。
しかし、本来であれば時効が成立する場合であっても、以下のような行為をとると時効が成立しなくなってしまうので注意しましょう。
- 引田法律事務所に対して返済について相談をする
- 請求額の一部でも支払う
身に覚えがない請求だからといって、引田法律事務所に対して借金に関する連絡をすると、「借金の存在を認めた」とみなされて時効が成立しなくなる可能性があります。
引田法律事務所から請求が届いた際には、直接連絡をとるのは避けるべきです。
弁護士に相談して時効援用を検討する
引田法律事務所からの請求は、多くのケースで時効が成立する可能性があります。
しかし、最後の返済から5年以上経過しているからといって、そのまま放っておいても正式に時効は成立しません。
また、請求を無視していると引田法律事務所から裁判を起こされる恐れもあります。
時効が成立する可能性がある場合には、弁護士に相談をして時効援用の手続きをとるとよいでしょう。
時効援用とは、債権者(お金を貸している側)に対して「この借金は時効が成立しているため支払いません」と通知する手続きのことです。時効援用を行うことによって正式に時効が成立し、支払義務から逃れられます。
時効援用は、弁護士に依頼せずに自分で通知書を作成して送ることも可能です。しかし、自分で時効援用の手続きをすると、手続きに失敗してしまう可能性があるため、専門家である弁護士に依頼するのが確実です。
引田法律事務所の時効援用が失敗するケース
以下のようなケースでは、時効援用が失敗してしまいます。
- 最後の返済日から5年以上経過していない
- 引田法律事務所と借金に関する話をしている
- 引田法律事務所から裁判を起こされている
それぞれ簡単に解説します。
最後の返済日から5年以上経過していない
消費者金融などからの借金の時効が成立するには、以下の条件を満たす必要があります。
滞納支払いをしていない場合 | 支払期日の翌日から5年間経っている |
滞納額の一部を支払っている場合 | 最後の返済日から5年間経っている |
これらの期間が経過していないと、時効援用の手続きをしても時効が認められず、失敗に終わってしまうので注意しましょう。
時効のカウントの起算日は間違えやすいので、専門家である弁護士に依頼して正確に調べてもらうのがおすすめです。
引田法律事務所と借金に関する話をしている
時効援用の手続きをするまでの間に、引田法律事務所と借金に関する話をしていると時効援用が失敗する可能性があります。
「時効が更新される行動をとらない」で解説した通り、債権者と借金に関する話をすると時効までの日数がリセットされるためです(時効の更新)。
たとえば、電話などで「もう少し待ってください」「あといくら借金がありますか?」のように借金の内容や返済に関する話をしていると、そのタイミングから5年経過しないと時効が成立しなくなるので気をつけてください。
引田法律事務所から裁判を起こされている
引田法律事務所からの請求を無視し続けていると、借金の回収のために裁判を起こされる可能性があります。
本来であれば、最後の返済日から5年が経過すれば時効が成立します。
しかし、裁判の判決が出ると、時効が成立するまでの期間が「判決から10年間」に延長されてしまいます。
また、裁判によって判決が出ると、銀行口座や給料が差し押さえを受けて、未払い金を強制的に回収されてしまう恐れもあります。
過去に裁判所から手紙が届いたなど、引田法律事務所から裁判を起こされている場合には、すみやかに弁護士に相談してください。
引田法律事務所の時効援用に失敗するとどうなる?
引田法律事務所の時効援用に失敗すると、以下のようなことが起きます。
- しつこい請求を受け続ける
- 時効までの期間が延長される
- 裁判を起こされて差し押さえを受ける
それぞれ簡単に解説します。
しつこい請求を受け続ける
引田法律事務所に対する時効援用が失敗した場合には、今後もしつこい請求を受け続けることになります。
何らかの理由で引田法律事務所からの請求が止まっていた場合には、請求が再開されてしまうでしょう。
基本的には、これまで通り郵便や電話によって請求をしてきます。
しかし、無視を続けていると、「住居調査予定のお知らせ」などの通知が届き、担当者が自宅へ訪問してくるなど、強気の取り立てをしてくる可能性もあります。
また、時効援用に失敗した場合には、残債を一括で支払うように請求される可能性が高いため注意が必要です。
時効までの期間が延長される
時効援用に失敗すると、時効援用の手続きをした日から5年間は改めて時効が成立しなくなってしまいます。
時効援用の手続きをすると、借金の存在を認めたとみなされて、時効が更新されてしまうためです。
一度時効援用の手続きに失敗すると、引田法律事務所側も積極的に督促を行ってくることが予想できるため、再度時効を狙うのは困難になるでしょう。
裁判を起こされて差し押さえを受ける
時効援用に失敗すると、引田法律事務所から裁判を起こされる可能性があります。
借金を巡っての裁判は、支払い義務がある借金を滞納していた債務者にあきらかに非があるため、ほぼ確実に債権者側に有利な判決が出てしまいます。
裁判による判決が出ると、債権者は裁判所に依頼して債務者の銀行口座や給料を差し押さえて強制的に借金を回収できるようになります。
一度差し押さえを受けたお金は基本的に返ってきません。裁判を起こされる前に必ず弁護士に相談してください。
引田法律事務所の時効援用で失敗した場合の対処法
万が一引田法律事務所の時効援用に失敗した場合には、すみやかに以下のような対処をとるのがおすすめです。
- 弁護士に相談して債務整理を検討する
- 一定期間待ってから再び時効援用の手続きをする
- 引田法律事務所と相談して返済をしていく
それぞれ簡単に解説します。
弁護士に相談して債務整理を検討する
時効援用に失敗すると、時効にしようとしていた借金を一括で返済するように請求されてしまう可能性があります。
金額によっては、まとめて支払うのが困難である場合も考えられます。
請求された借金を支払うのが難しい際には、弁護士に相談して債務整理を検討するとよいでしょう。
債務整理とは、法律の力を使って合法的に借金を減額する手続きで、以下の3つが含まれます。
任意整理 | 債権者と交渉して利息や遅延損害金をカットする |
個人再生 | 裁判所に申し立てて借金を最大で10分の1にまで減額する |
自己破産 | 裁判所に申し立ててほぼすべての借金を帳消しにする |
3つの債務整理にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どの手続きを選ぶべきかは借金額や生活状況などによっても異なります。
そのため、まずは弁護士に相談して、自分に適した手続きをとってもらうのがおすすめです。
▼関連記事
債務整理とは?弁護士がメリットデメリットや費用をわかりやすく解説
一定期間待ってから再び時効援用の手続きをする
時効援用に失敗した際には、一定期間待ってから再び時効援用の手続きをするという選択肢もあります。
時効援用の手続きに失敗すると、時効までのカウントがリセットされてしまいます。
一度時効援用に失敗すると、再度引田法律事務所から請求を受けることになりますが、時効援用に失敗したタイミングから5年が経過すれば再び時効が成立する可能性があります。
しかし、時効援用に失敗した段階で、いつ引田法律事務所から裁判を起こされてもおかしくない状況といえます。
そのような状況を5年間も放置して再びの時効を狙うのは非常にリスクが高いため、おすすめできません。
引田法律事務所と相談して返済をしていく
時効援用に失敗した際には、引田法律事務所と相談のうえで返済をしていくという選択肢も考えられます。
通常では、時効援用に失敗すると残債を一括で支払うように請求を受けます。
しかし、早めに相談をすれば分割払いなどに応じてくれる可能性も十分にあります。
借金額が10万円以下であるなど、弁護士に依頼して債務整理をするほどの金額ではない場合には、地道に返済していくという選択もおすすめです。
まとめ
引田法律事務所は旧武富士の債権を承継して債権回収業務を行っています。引田法律事務所から請求が届いた場合には、弁護士に相談して時効援用を検討するべきです。時効援用に失敗した場合には、弁護士に相談して債務整理を検討するとよいでしょう。
借金問題に関する相談であれば、ほとんどの弁護士事務所が無料で相談に応じてくれます。一度専門家に相談して、適切な対応を取ることをおすすめします。
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