任意整理とは?後悔しないために知っておきたいメリットや注意点などわかりやすく解説!
投稿日: 2025.02.10 | 更新日: 2025.02.10

任意整理は「債務整理」の種類のひとつです。以下の記事で債務整理の基本知識について詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
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債務整理とは?弁護士がメリットデメリットや費用をわかりやすく解説
この記事では「任意整理」の基本的な流れ、メリット・デメリットを詳しく解説します。
また「任意整理はしない法がいい」といわれている理由についても触れているので、任意整理をご検討中の方は、ぜひ最後までお読みください。
なお、リーガルノートでは、債務整理に関するさまざまな情報を発信しています。
債務整理が相談できる、オススメの弁護士事務所も紹介していますので、ぜひブックマークしてご覧ください。
任意整理とは?

任意整理(にんいせいり)とは、債務整理(さいむせいり)の一種で、貸金業者と交渉し、借金の減額や支払い条件の緩和を図る手続きです。
完済までに発生する利息をカットし、3〜5年程度で完済するのが一般的です。
ここでは、任意整理の手続きや減額の仕組み、任意整理をすべき基準を解説します。
業者と交渉して利息をカットする手続き
任意整理は、借金を貸した業者との話し合いによって、次のような負担を軽減する手続きです。
- 完済までに発生する 将来利息
- 支払い遅延による 遅延損害金(ちえんそんがいきん)
任意整理では、元本以外の負担を取り除き、現在の借金を約3~5年、具体的には36~60回の分割払いで完済するのが一般的です。
「交渉だけで本当に借金が減額できるのか?」と思う人もいるかもしれませんが、業者にとっては任意整理に応じることがメリットとなる場合もあります。
その理由は、裁判を起こして借金を回収するのには時間がかかる上、自己破産の手続きをされてしまうと借金の回収は難しくなるからです。
そのため、減額をされてでも任意整理に応じてくれるケースが多いといった特徴があります。
任意整理の条件
任意整理を成功させるには、いくつかの条件があります。主な条件は次のとおりです。
- 安定した収入があり、無理なく返済を継続できること
- 3~5年で完済できる見込みがあること
- 借り入れから一定期間返済をしていること
- 交渉先の業者が任意整理に応じること
任意整理は、交渉成立後も借金の返済が続くため、安定した収入が必要です。また、現在の借金が3~5年で返済できることが前提になります。
アルバイトやパートの収入があれば手続きが可能ですが、無職や生活保護受給者、年金受給者の場合は、業者が交渉に応じない可能性が高くなります。
ただし、個別の事情により柔軟に対応してもらえる場合もあるため、弁護士に相談することをオススメします。
また、半年以上の返済履歴があることが望ましいです。
返済履歴がない状態で交渉を進めても「最初から任意整理を前提として借入したのでは?」と疑われ、交渉に応じてもらえない可能性があります。
任意整理が自分に適しているかお悩みの方は、まずは専門家に相談してみるとよいでしょう。
任意整理はどんな人にオススメ?
ここでは、任意整理がオススメな人、任意整理以外の手続きがオススメな人を紹介します。
任意整理がオススメな人 | ・月の返済が負担なので減らしたい ・今の借金を36~60回払いで完済できる ・安定した収入がある ・交渉する業者を選びたい ・連帯保証人に迷惑をかけたくない ・家や車を残したい |
任意整理以外の手続きがオススメな人 | ・借金が高額過ぎて36~60回払いでは完済できない ・収入が不安定で支払いが難しい ・借り入れが半年未満で返済実績が少ない ・借金の金利が低い ・業者が交渉に応じない ・すでに財産が差し押さえられている |
以下で詳しい内容をみていきましょう。
任意整理がオススメな人
以下の条件に当てはまる人は、任意整理を検討するとよいでしょう。
- 月々の返済が負担で減らしたい
- 現在の借金を36~60回払いで完済できる見込みがある
- 安定した収入がある
- 交渉する業者を選びたい
- 連帯保証人に迷惑をかけたくない
- ローン返済中の家や車を残したい
任意整理は、現在の借金を分割払いにし、3~5年で完済を目指す人に適した手続きです。返済が続くため、安定した収入があることが前提となります。
また、業者を選んで交渉できるため、特定の借金だけを整理したい場合や連帯保証人に迷惑をかけたくない人にも向いています。
さらに、家や車を手放したくないという人にもメリットがある手続きです。
任意整理以外の手続きがオススメな人
一方で、以下の条件に該当する場合は、任意整理以外の手続きを検討するとよいでしょう。
自己破産がオススメ | 収入が不安定で支払いが難しい |
個人再生または自己破産がオススメ | ・借金が高額過ぎて36~60回払いでは完済できない ・借り入れが半年未満で返済実績が少ない ・借金の金利が低い業者が交渉に応じない ・すでに財産が差し押さえられている |
任意整理は、借金を分割払いで返済できる人向けの手続きです。
そのため、高額な借金がある人や収入が不安定な人、返済実績がない場合などは、個人再生や自己破産といった別の方法を検討する方が現実的です。
また、差し押さえが発生している場合や、業者が任意の交渉に応じないケースでは、裁判所を通した手続きがより効果的となるでしょう。
借金問題の解決方法は、借入額や収入状況、返済履歴などによって異なります。
自分に合った手続きをみつけるには、弁護士や専門家への相談が最も確実です。
無料相談を利用して、具体的なアドバイスを受けてみましょう。
任意整理のメリット
任意整理は、多くのメリットがある方法です。メリットとして挙げられる点は以下のようなものがあります。
- 利息がカットされ支払いの負担が減る
- 3~5年の分割払いになる
- 支払督促が止まる
- 裁判所を通さず手続きが手軽
- 他の債務整理より費用が安い
- 家族に知られにくい
- 弁護士が代わりに交渉等をしてくれる
- 財産を手元に残せる
- 交渉する業者を選べる
- 保証人に迷惑をかけない可能性がある
- 支払いが一本化できる
- 過払い金で借金が減額・完済できる
それぞれの利点を具体的に解説します。
利息がカットされ支払いの負担が減る
任意整理は利息がカットされ、月々の支払い負担を大幅に削減できる点が大きなメリットです。
たとえば、借金100万円を年率15%で完済する場合の減額は、次のとおりになります。
任意整理なし | 任意整理あり | |
年率 | 15% | 0% |
月の支払い | 約2万3,000円 | 約1万6,000円 |
うち利息 | 約42万7,000円 | 0円 |
上記の通り、任意整理前の状態では利息だけで42万円が発生しますが、任意整理をすればこの利息をカットできます。
結果的に、月々の返済額は1万6,000円まで減額できます。
このように将来利息をカットし、返済額を減額できる点が任意整理のメリットです。
3~5年の分割払いになる
任意整理をすれば、借金は3~5年(36~60回)の分割払いに再設定できます。
滞納が続き一括返済を求められている場合でも、分割払いに戻せば無理のない支払い計画を立てられる点もメリットです。
分割払いが可能になれば、一括返済を迫られるプレッシャーから解放され、安定した生活を送りながら返済を続けられます。
また、弁護士を通じて和解内容が調整されるため、無理のない支払いスケジュールを実現できる可能性も高まるでしょう。
このように、分割払いにより返済負担を軽減し、計画的に完済を目指せる点が任意整理の大きなメリットの一つです。
支払督促が止まる
弁護士に任意整理を依頼すると、業者からの支払督促や取り立ての電話、郵便物が停止します。
これは弁護士が業者に送付する「受任通知」による効果です。「受任通知」とは、弁護士が任意整理の代理人として手続きを開始する旨を正式に通知する文書です。
この通知を受け取った業者は、法律に基づき取り立て行為を停止しなければならなくなります。
支払督促が止まれば、落ち着いた環境のなかで返済計画を立て直し、手続きを進められる点が任意整理の大きなメリットといえます。
裁判所を通さず手続きが手軽
債務整理には任意整理の他に『個人再生』と『自己破産』という手続きがあります。個人再生と自己破産の特徴は以下のとおりです。
個人再生 | 裁判所の許可のもの借金を最大10分の1まで減額できる |
自己破産 | 裁判所の許可のもと借金の返済義務をなくせる |
任意整理は、個人再生や自己破産と異なり、裁判所を通す必要がありません。
準備する書類が少なく弁護士が業者と交渉するだけで完了し、手続き期間が短く手軽な点もメリットです。
他の債務整理より費用が安い
任意整理は、裁判所の費用が不要です。手続きに手間がかからない分、個人再生や自己破産と比べると弁護士費用も安く済む傾向があります。
一般的には一社あたり2~5万円程度が相場です。
さらに、任意整理では裁判所を通さないため、裁判関連の費用が発生しない点も費用を抑えられる理由の一つです。
費用を抑えつつ借金問題を解決したい人にとって、任意整理は手軽で利用しやすい債務整理の方法といえます。
弁護士に相談する際には、事前に費用の詳細を確認し、見積もりを比較すれば安心して手続きを進められるでしょう。
家族に知られにくい
任意整理は、家族に知られずに進められる可能性が高い手続きです。
任意整理が家族に知られにくい理由は以下のとおりです。
- 財産を処分されないため
- 裁判所を通さないので、裁判所から家に書類が届くことがなく、書類を提出することもないため
個人再生や自己破産のように裁判所を通す手続きでは、書類が家に届く場合がありますが、任意整理ではその心配がありません。
また、財産の処分もなく、弁護士と依頼者のやり取りのみで完結します。
周りに知られずに債務整理をできる点も、任意整理の大きなメリットです。
弁護士が代わりに交渉等をしてくれる
任意整理では弁護士が業者との交渉や手続き、返済管理を引き受けてくれるため、自分で対応する必要がありません。
個人での交渉も可能ですが、業者側が応じてくれる可能性が低くなり、手続きもすべて自分で進める必要があります。
法律の知識を持つ弁護士が間に入れば、業者と対等な交渉が可能になり、依頼者の負担を大きく軽減できるでしょう。
弁護士が交渉を代行してくれる点もメリットだといえます。
財産を手元に残せる
任意整理は自己破産のように、財産を処分されるリスクがありません。
持ち家や車などの財産を維持しながら、返済計画を立て直せる点も大きなメリットです。
財産を手元に残せるため、生活基盤を安定させた状態で返済を続けられる点が、任意整理の大きな魅力です。
生活への影響を最小限に抑えながら再スタートを切れる点が、任意整理を選択する際の重要なメリットといえるでしょう。
保証人に迷惑をかけずに済む
任意整理では交渉する業者を自由に選択できるため、保証人がついている借金を除外できます。
基本的に債務整理を行うと返済義務は保証人に移ります。保証人は一括返済を求められるため、多大な迷惑をかける可能性もあるでしょう。
任意整理は、保証人のついていない業者に交渉すれば、保証人や連帯保証人に迷惑をかけずに済む点もメリットのひとつです。
ローン返済中の家や車を失わなずに済む
任意整理では業者を自由に選択できるため、ローン返済中の家や車がある場合も該当の業者を任意整理の対象から外せます。
ただし、該当する家や車における借金を任意整理した場合は担保として金融機関に売却されます。
財産となる対象のローンを任意整理から外し、通常通り返済すれば家や車を失わずに済む点もメリットだといえます。
支払いが一本化できる
任意整理を行うと、複数の借入先への返済を一本化できるというメリットがあります。
弁護士が各債権者と交渉し、返済条件を再設定することで実現できるものです。
支払いを一本化すれば、複数の返済日や異なる利率に煩わされることなく、一定額を一括で返済できる仕組みが整います。
これにより、家計管理が効率化され返済計画を立てやすくなる点も大きな利点です。
弁護士が代理で返済先を調整するため、自分で各業者とやり取りする必要がなくなり、依頼者の負担も軽減されます。
とくに多重債務に悩む人にとって、支払いの一本化は返済の見通しを立て直すための重要な手段となるでしょう。
過払い金で借金が減額・完済できる
任意整理では過払い金の請求も同時に依頼が可能です。
過払い金とは過去に払いすぎた利息のことで、弁護士を通して請求すれば返ってくる可能性があります。
過払い金が発生している場合、返済に充て借金を減額したり、完済を早めたりできます。
過払い金の請求は消費者金融やクレジットカード会社といった貸金業者との取引履歴をもとに、正確な金額を計算することで進められる手続きです。
過払い金を利用して借金を減額または完済すれば、返済負担が大幅に軽減され、経済的に再出発しやすい環境を整えられるでしょう。
このように、過払い金請求は任意整理を行う際の大きな利点の一つです。
任意整理のデメリット

任意整理はメリットの多い手続きですが、デメリットとなる点もあります。
任意整理のデメリットとして挙げられるのは以下のようなものです。
- 減額できるのは利息のカットのみで元本は減らない
- 月々の返済額が増えるケースがある
- 5年はクレジットカードやローンが利用できない
- 任意整理に応じない業者がいる
- 無職だと任意整理できない
- 差し押さえが止められない
- 銀行口座が一時的に凍結される
- 税金などは任意整理できない
それぞれの内容を詳しく解説します。
減額できるのは利息のカットのみで元本は減らない
任意整理では元本の減額は基本的に期待できないため、借金の総額が大きい場合、月々の返済負担があまり軽減されない可能性があります。
そのため、高額な借金や返済が難しい状況にある場合は、個人再生や自己破産など、裁判所を通じた手続きを検討するのが現実的です。
個人再生と自己破産の特徴は次のとおりです。
個人再生 | 裁判所の許可のもと借金を最大10分の1まで減額できる |
自己破産 | 裁判所の許可のもと借金の返済義務をなくせる |
任意整理は、元本を減らさずとも利息のカットや分割払いの条件変更によって返済計画を立て直す点が強みです。
しかし、借金の総額や収入状況によっては他の手続きの方が適している場合もありますので、自分の状況にあった手続き選びが重要です。
月々の返済額が増える可能性がある
任意整理をすると、月々の返済額が増える可能性があります。
たとえば、リボ払いのように少額の支払いが続く場合、任意整理によって返済期間を3~5年に短縮することで、毎月の支払いが高くなるケースです。
一方で、任意整理を選択することで利息がカットされ、全体の返済額が減るため、長期的には経済的な負担を軽減できる可能性があります。
総額でみると、リボ払いを継続するよりも少なく済む場合が多く、結果的には任意整理が有利となるケースも少なくありません。
重要なのは、無理のない返済計画を立てることです。
任意整理を検討する際は、弁護士と相談し、現在の収支や借金の状況に応じた適切な返済スケジュールの設定がポイントとなります。
5年はクレジットカードやローンが利用できない
任意整理を含む債務整理をすると、信用情報機関に記録が残ります。
いわゆる「ブラックリストに載る」と呼ばれる状態ですが、これは正式なリストが存在するわけではなく、信用情報に事故情報が記録されることを指します。
これにより、クレジットカードの新規発行やローンの審査が通りにくくなる点は大きなデメリットです。
ただし、任意整理では完済から5年が経過すれば信用情報が回復するため、将来的には再びカードやローンを利用できるようになります。
詳しくは「債務整理のブラックリストはいつ消える?期間やリスクを徹底解説」の記事でも解説しているので、あわせて参考にしてください。
任意整理に応じない業者がいる
任意整理は任意の交渉であるため、業者が応じない場合もあります。
なかには、会社の方針として任意整理を受け付けていない業者も存在します。
その場合、任意整理では借金を減額できず、個人再生や自己破産といった裁判所を通した手続きが必要です。
あくまで任意の交渉であり、強制力を持たない点もデメリットだといえます。
無職だと任意整理できない
任意整理は返済能力を前提とする手続きです。
無職で収入がない場合、借金の返済が見込めないため、交渉に応じてもらえない可能性が高まります。
自己破産のように借金の返済義務が免除されるのではなく、減額された元本の返済は続くため、安定した収入や継続的に返済できる見込みがあるかが非常に重要です。
まずは、収入を安定させた上で専門家に相談する必要があるでしょう。
差し押さえを止められない
任意整理では、差し押さえの前なら、交渉することで止められる可能性があります。
しかし、すでに差し押さえられている場合は止められません。
給料や銀行口座が差し押さえられている場合は、個人再生や自己破産といった裁判所を通じた手続きが必要となります。(民事再生法39条、破産法42条)
たとえば、個人再生では裁判所の介入により差し押さえが一時的に停止され、返済計画を立て直すことが可能です。
一方、自己破産では、財産を処分して借金返済の義務を免除する代わりに、差し押さえの解除が行われます。
任意整理はあくまで債権者との任意の交渉であり、強制力を持たないため、差し押さえが進行中のケースでは十分な解決策とはなりません。
すでに差し押さえられている場合は、早急に弁護士に相談し、最適な手続きを選択することが重要です。
銀行口座が一時的に凍結される
任意整理の対象が銀行からの借り入れの場合、手続き中に口座が凍結される可能性があります。
凍結されると、入金や引き出しができなくなるため、事前に弁護士の指示に従って対応することが重要です。
税金などは任意整理できない
任意整理では、税金や公共料金、損害賠償金といった公的性質を持つ債務は対象外となります。
これらは法律で保護されており債務整理による減額や免除が認められていません。
任意整理ができない主な債務の例は次のとおりです。
- 税金(所得税、市民税、固定資産税など)
- 社会保険料(健康保険料、年金保険料など)
- 公共料金(電気、ガス、水道料金など)
- 損害賠償金(事故や不法行為による支払い義務)
- 罰金(刑罰として科される金銭)
また、奨学金や住宅ローンなどの低金利の借入については、利息が少ないため任意整理による減額効果があまり期待できないでしょう。
この場合、元本返済が引き続き求められるため、借金全体を大きく軽減することが難しい点もデメリットです。
任意整理を検討する際には、自身の負債の性質を十分に理解し、どの債務が整理可能かを確認する必要があります。
公的債務や低金利の借入がある場合は、個人再生や自己破産など他の手続きも視野に入れるとよいでしょう。
任意整理の費用の相場は1社2~5万円

任意整理に必要な費用相場は、一社あたり2~5万円が相場とされています。
さらに、法律事務所によっては、借金の減額に成功した場合にその減額分に応じた報酬(減額報酬金)が10%程度加算されるケースもあります。
以下に、任意整理にかかる費用の内訳をまとめました。
内訳 | 内容 | 費用 |
着手金 | 依頼を受けた際に支払う頭金のようなもの | 上限なし |
報酬金 | 依頼内容が解決した際に支払う成功報酬 | 解決報酬金:1社あたり2~5万円 減額報酬金:減額分に対して10%以下 過払い金の報酬金:20~25%(税抜) |
実費 | 手続きの際に発生したコピー代や郵送代など | – |
参考:日本弁護士連合会『債務整理の弁護士報酬のルールについて
任意整理の費用は、交渉する業者の数や事務所ごとの料金体系によって異なります。
そのため、弁護士に相談する際は費用の見積もりを事前に確認する必要があります。
また、日本弁護士連合会が定めた報酬のルールを守らない事務所も稀に存在しますので、規定の報酬を超えていないか注意が必要です。
任意整理にかかる期間はおおよそ3~6か月

任意整理に要する期間は、一般的に3~6か月程度とされています。
債務整理のなかでも比較的短期間で手続きが完了する方法です。「個人再生」や「自己破産」では、手続きが長引き最長で1年ほどかかるケースもあります。
任意整理の期間を左右する要因は次のとおりです。
- 取引履歴の送付にかかる時間
- 弁護士費用の積立スピード
取引履歴の送付にかかる期間は、業者が弁護士に対してどのくらい迅速に取引履歴を送付してくれるかで手続きの開始時期が変わります。
また、弁護士に支払う費用を分割で積立る場合、その進捗に応じて手続きの進行が左右されるケースもあるでしょう。
手続きのスムーズな進行のためには、弁護士への相談を早めに行い、必要な書類を迅速に用意することがポイントです。
任意整理は他の債務整理方法と比べて短期間で完了する可能性が高い手続きですが、状況に応じた計画を立てればさらに効率的に進められるでしょう。
任意整理の流れ

任意整理は、弁護士に依頼することでスムーズに進められる手続きです。
弁護士に依頼する際の、任意整理の流れは次のとおりです。
- 弁護士に相談・依頼
- 受任通知の送付と取引履歴の開示請求
- 弁護士費用の積立開始
- 和解案の提示と和解交渉
- 和解内容に従い返済開始
以下で任意整理の手続きがどのように進むのか、順を追って解説します。
STEP1:弁護士に相談・依頼
任意整理を進める際、弁護士や司法書士に相談することが一般的です。
こういった法律の専門家は債務整理に関する知識と経験を持ち、適切な解決策を提案してくれます。
弁護士と司法書士の違いについては「任意整理は弁護士と司法書士どちらに依頼すべき?」の章で詳しく解説しています。
弁護士は、司法書士と異なり、借金額の制限を受けずに対応できるため、すべての債務整理手続きに対応可能です。
また、債権者との交渉力が高く、利息カットや返済条件の変更といった有利な条件を引き出せる可能性が高まります。
無料相談を受け付けている窓口も多いため、初めて相談する方でも安心して利用できるでしょう。
STEP2:受任通知の送付と取引履歴の開示請求
弁護士に依頼すると、まず任意整理の対象となる業者に「受任通知」を送付します。
受任通知に記載されている主な内容は以下のとおりです。
- 任意整理を弁護士が受けた旨
- 取り立てや催促を停止する指示
- 取引履歴の開示要求
受任通知の送付により、業者への返済が一時停止され取り立ての連絡も止まります。
STEP3:弁護士費用の積立開始
受任通知によって取り立てや督促がストップした期間で弁護士費用の積立を開始します。
積立期間中は返済が一時的に中断されているため、その分を弁護士費用に充てられます。
「費用が用意できないかもしれない」と不安に感じる方も安心して依頼できるでしょう。
積立した費用は、任意整理の手続き費用や業者との交渉の費用として使用されます。
費用の積立によって着手金の支払いができ次第次のステップに進みます。
STEP4:和解案の提示と和解交渉
弁護士が業者からの取引履歴をもとに、正確な借入金額を再計算(引き直し計算)します。
その後、弁護士が業者に対して和解案を提示し、交渉を開始します。
主な交渉内容は将来利息のカットや返済条件の変更です。
業者によっては任意整理に応じてくれないケースもあります。
その場合は、個人再生や自己破産を選択する必要があります。
STEP5:和解内容に従い返済開始
和解交渉が成立すると、弁護士から和解内容が通知されます。
以降は、和解条件に基づき3~5年の分割払いで返済を開始します。
分割払いによる済額は事前に弁護士と業者が調整しているため、無理のない範囲で進められます。
弁護士に依頼するメリット

任意整理を弁護士に依頼することで得られる主なメリットは次のとおりです。
- 取り立てが止まる
- 有利な条件で減額できる
- 手続きのすべてを任せられる
- 家族に知られにくい
- 過払い金を一緒に請求できる
弁護士に依頼する最大のメリットは、取り立てや督促が止まる点です。
弁護士による受任通知の送付で、直接の取り立てや連絡が禁止され、精神的な負担が軽減されます。
また、自身で業者と交渉する場合に比べ、利息のカットや分割回数の増加など有利な条件を引き出せる可能性が高まる点もメリットです。
過払い金の調整や計算、和解書の作成、業者とのやり取りもすべて弁護士が代行するため、手続きの負担も大幅に軽減できるでしょう。
依頼する弁護士の選び方

弁護士を選ぶ際は、次の点に考慮することをオススメします。
- 借金問題の解決実績がある
- 費用が適切で明確である
- 弁護士との相性が良い
- 複数の法律事務所に相談する
弁護士にも得意分野があるため、借金問題に特化した弁護士に依頼するとよいでしょう。
借金問題に特化している弁護士を選べば、自分に合った手続きを提案してもらえます。
債務整理の実績が多い弁護士なら、各業者の和解傾向も理解しているため、通りやすい条件を提示してくれます。
他にも費用や相性などを考慮し、複数の法律事務所に相談してみると、自分に合った弁護士をみつけられるでしょう。
最近では、LINEで手軽に予約できる事務所も増えているので、まずは無料相談を活用してみることをオススメします。
任意整理はしない方がいい?人生終わり?

任意整理についてネットで調べると、『任意整理はしない方がいい』『人生が終わる』といった意見を目にすることがあります。
こうした情報に不安を感じる方も少なくないでしょう。
しかし、結論から述べると任意整理をしたからといって人生が終わるわけではありません。
たしかにデメリットとして、5年間クレジットカードやローンの利用が制限されることはありますが、この期間を過ぎれば信用情報は回復します。
また、任意整理では自己破産のように財産を失うこともなく、必要以上に生活に大きな影響を及ぼすものではありません。
むしろ、借金の負担を軽減し、経済的な再出発を目指すための有効な手段といえるでしょう。
ここでは、実際に任意整理をした人の声を紹介するので、参考にしてください。
実際に任意整理をした人の声
任意整理をして後悔した人の声
任意整理を後悔する代表的なケースとして、『任意整理をしたのに返済の負担が減らなかった』という状況が挙げられます。
本来であれば、弁護士や司法書士が依頼者の状況を十分に把握し、『返済が困難な場合は自己破産を選ぶ』など、適切な手続きを提案することが重要です。
しかし、経験が不足している専門家に依頼してしまうと、依頼者に合わない手続きを進められ結果的に後悔するケースもあります。
だからこそ、専門家選びは慎重に行い「どの手続きがベストなのか」を確認することが重要です。
任意整理はしない方がいい?後悔する?
任意整理をするべきか、しない方が良いかは個々の状況によって異なります。
たしかに、任意整理をすると信用情報に記録が残り、一定期間クレジットカードやローンが利用できなくなります。
そのため「ブラックリスト状態になるのが嫌だ」「自力で返済できる可能性がある」といった理由で任意整理を避ける選択をする人もいるでしょう。
しかし、借金を続ける生活を変えずにいるとさらに借金が膨らみ、深刻な状況に陥るリスクがあります。
任意整理は借金の負担を減らし、生活を立て直すための第一歩となる手段です。
大切なのは「後悔するかもしれない」と悩んで現状を放置するのではなく、この機会を活かして生活の立て直しに向けて行動することです。
任意整理によって借金を減らしつつ、現状の収入でやりくりする力を身につければ、将来的には自由にお金を使える生活を取り戻せます。
迷った際は弁護士に相談してみるのがオススメです。専門家に話を聞いて、自分の状況に最適な選択を見極めるきっかけになるでしょう。
任意整理でよくある質問

最後に、任意整理でよくある質問に回答していきます。
任意整理と債務整理はどう違う?
任意整理は、債務整理の方法の1つです。
債務整理とは、借金の負担を軽減または免除するための法的手続きの総称で、そのなかに以下のような種類があります。
任意整理 | 裁判所を通さず、業者と交渉して利息をカットし、分割払いの条件えを整える手続き |
個人再生 | 裁判所を通して借金を大幅に減額する手続き(元本を最大1/10まで減額できる場合もある) |
自己破産 | 裁判所の許可を得て借金の返済義務を免除する手続き |
詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
▼関連記事
債務整理の種類を解説!4種類の特徴・メリット・デメリットとは?
任意整理をするとクレジットカードは使えなくなる?
任意整理をすると、交渉対象になったクレジットカードは基本的に強制解約となり、以降は使用できなくなる可能性が高くなります。
さらに、任意整理で対象外にしたクレジットカードについても、将来的に利用できなくなる場合があります。
その理由は、クレジットカード会社が定期的に行う途上与信(とじょうよしん)と呼ばれる審査です。
この審査で任意整理の記録が信用情報機関の登録が判明すると、カードの更新が拒否される可能性があります。
クレジットカードが利用できなくなっても、デビットカードを代替手段として活用できます。
デビットカードは銀行口座から直接引き落としされる仕組みで、信用情報の影響を受けずに利用できるためです。
クレジットカードが使えない生活に不安を感じる場合でも、デビットカードを活用すれば生活を大きく変えずに済むでしょう。
債務整理とクレジットカードの関係については、以下の記事を参考にしてください。
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債務整理中にクレジットカードは使える?作れる時期もあわせて徹底解説!
家族に影響はある?
任意整理をしても、基本的に家族へ直接的な影響はありません。
任意整理では財産を失うことはなく、手続きが弁護士との間で進むため、家族が知らないうちに完了するケースもあります。
信用情報機関に記録が残るのは、任意整理をした本人のみです。そのため、家族の信用情報や借金に影響を及ぼすことはありません。
ただし、例外的に影響が生じるのは、任意整理をする借金の連帯保証人が家族である場合です。
この場合、任意整理で借金が減額されたとしても、連帯保証人にその減額分を請求される可能性があります。
家族が連帯保証人である借金について任意整理を検討する際は注意が必要です。
借り入れ先が複数ある場合は、連帯保証人がついている借金を任意整理から除外する選択肢を検討すれば、家族への請求を回避できます。
任意整理は弁護士と司法書士どちらに依頼すべき?
任意整理は弁護士と司法書士のいずれにも依頼可能ですが、対応範囲には違いがあります。以下の表を参考にしてください。
対応範囲 | 司法書士 | 弁護士 |
任意整理 | 1社あたりの借金が140万円以下なら対応可能 | 制限なし |
1社140万円以下の法律相談・交渉・裁判 | ◯ | ◯ |
1社140万円を超える法律相談・交渉・裁判 | ✕ | ◯ |
司法書士は、1社あたりの借金が140万円以下であれば任意整理を含む法律相談や交渉に対応できます。
ただし、140万円を超える借金が1社でもある場合は、司法書士では対応できません。
費用に関しては、両者とも1社あたり2~5万円が相場になるため、制限のない弁護士への依頼がオススメです。
任意整理をするとできなくなることはある?
任意整理をすると信用情報に記録が残り、一定期間できなくなることがあります。以下の例をご覧ください。
- クレジットカードの新規発行
- ローンやキャッシングの利用
- 携帯端末の分割購入
- 一部の家賃保証会社の審査に通らない
- 連帯保証人になれない
任意整理をするとクレジットカードの新規発行やローンやキャッシングの利用が制限される点は、前の章で解説しましたが、携帯端末の分割購入も同様にできなくなります。
そのため、任意整理をした後に携帯電話を購入する際は、一括購入を求められる可能性があることを考慮しておくとよいでしょう。
亡くなった親の借金を相続したが任意整理できるか?
亡くなった親の借金を相続してしまった場合でも、任意整理は可能です。
相続した借金を債務整理すれば、返済計画を立て直せます。
さらに、親が亡くなったことを知ってから3か月以内であれば「相続放棄」という手続きで借金の返済義務を免れられます。
ただし、相続放棄を選択するとプラスの財産も同時に放棄する点に注意が必要です。
親の借金問題でお困りの際は、弁護士に相談することで適切なアドバイスを受けられます。
子どもに借金を相続させたくないがどうしたらいいか?
借金を残したまま亡くなると、その借金がお子さんに相続される可能性があります。
お子さんに借金を相続させたくない場合は、生前に任意整理や自己破産を通じて借金を減額、または免除する手続きを進める方法が有効です。
任意整理では利息をカットし、無理のない返済計画を立てれば完済を目指せます。
一方で、借金の額が高額で返済が困難な場合は自己破産による債務免除が選択肢となります。
これらの手続きを通じて、借金を残さない状態作りが重要です。
早めに弁護士に相談すれば、子どもに借金の負担を残さない適切な対応が可能となります。
任意整理できない借金はある?
任意整理では、すべての借金が対象になるわけではありません。
以下の借金は任意整理の対象外、または減額効果が薄いケースがあります。
- 税金や社会保険料=対象外
- 奨学金や住宅ローン=低金利のためメリットが少ない
一方で、リボ払いや消費者金融、カードローンやキャッシングによる借入は任意整理が可能です。
リボ払いなどによる借金は、利息のカットにより大幅に支払額を減らせる可能性があります。
どの手続きが適しているかを判断するためにも、弁護士に相談して最適な解決策をみつけてください。
任意整理をした後の返済方法は?
任意整理後の返済方法には、以下の2つがあります。それぞれの特徴を把握し、自分に合った方法を選びましょう。
自分で返済する | 各業者ごとに毎月自分で銀行振り込みをする |
弁護士に返済代行を依頼する | 弁護士に依頼して各業者に返済してもらう代行手数料が発生する 支払い先を弁護士に一本化できるため支払い忘れのリスクが少ない |
弁護士に返済代行を依頼すれば、スムーズに返済を進められる点が大きなメリットです。
一方で自分で返済する場合には、手数料を節約できるためコスト面での利点があります。
それぞれの方法を比較検討し、状況にあわせた選択が必要です。
任意整理後に一括返済はできる?
任意整理後でも、一括返済や繰り上げ返済は業者の同意があれば可能です。
早期に一括返済すれば、ブラックリストに記録が残る期間が短縮される可能性があります。
このため、将来的にローンやクレジットカードを利用したい場合、一括返済を検討するのは有効な手段です。
ただし、複数の業者と任意整理を行っている場合、一括返済を優先した業者以外の返済に影響を与えないよう注意が必要です。
他の返済計画が滞らないよう、事前に弁護士に相談して計画を立てる必要があります。
任意整理中に払えなくなるとどうなる?
任意整理中に返済が難しくなった場合、以下のリスクがあります。
- 弁護士費用の積立ができない場合→弁護士に辞任される可能性がある
- 和解後の返済ができない場合→2回滞納をすると一括返済を求められる可能性がある
任意整理中に一時的に支払いが難しい場合は、業者や弁護士に事情を説明して支払い猶予をお願いすれば解決策を提案してくれるはずです。
今後も返済が困難である場合は、以下の選択肢を検討する必要があります。
- 未整理の業者を新たに任意整理に含める
- 自己破産を検討する
任意整理後に自己破産の手続きをする場合、再度弁護士費用が発生するため注意が必要です。
途中で支払い困難に陥らないためにも、弁護士に相談する段階で無理のない返済計画を立ててもらう必要があるでしょう。
まとめ

本記事では任意整理について、任意整理の特徴やメリット・デメリット、手続きの流れについて徹底的に解説しました。
任意整理は、利息のカットや月々の返済負担を減らせるなど、多くのメリットがある一方、ブラックリストへの登録などのデメリットも存在します。
そのため、自分にとって本当に適した手続きなのかを見極めた上で選択する必要があります。
また、手続きをスムーズに進めるには、経験豊富な弁護士のサポートが不可欠です。
弁護士に依頼すれば、交渉や手続きの負担を軽減し、より有利な条件で和解できる可能性が高まります。
任意整理を含む債務整理について少しでも疑問や不安がある方は、無料相談を活用し弁護士に相談してみるのもよいでしょう。
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