任意整理中でもお金は借りられる?借入のリスクと対処法を徹底解説
投稿日: 2025.02.17 | 更新日: 2025.02.17

任意整理中に、急な出費でお金が必要になるケースもあるでしょう。しかし、任意整理中は信用情報機関に事故情報が登録されているため、一般の金融機関からの借入は難しい状態です。
そんなとき、「どうにかして借りる方法はないのか」「誰に相談するべきなのか」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、任意整理中にお金が必要になった場合の借入のリスクや、対処法を詳しく解説します。その際、弁護士に依頼するメリットも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
なお、任意整理については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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任意整理とは?後悔しないために知っておきたいメリットや注意点などわかりやすく解説!
任意整理中に新たにお金を借りられる可能性はある?

任意整理中は、原則として新たな借入はできません。これは、任意整理した情報が信用情報機関に登録されているためです。
信用情報機関は、個人の借入状況や返済履歴を管理する機関で、主に次の3つがあります。
信用情報機関 | 主な加盟業者 | 記載される期間 |
CIC(株式会社シー・アイ・シー) | クレジットカード会社消費者金融 | 5年 |
JICC(株式会社日本信用情報機構) | 消費者金融 | 5年 |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 銀行信用金庫 | 5年 |
信用情報機関に登録されると「ブラックリスト」と呼ばれる状態になり、完済後も約5年間は新たな借入やクレジットカードの作成ができません。
インターネット上では「神金融」「極甘審査」といった触れ込みで、任意整理中でも借入可能とうたう金融機関を見かけることがあります。
しかし、このような借入は新たな問題を引き起こす可能性が高いため、利用は避けたほうがよいでしょう。。
出典:個人信用情報機関|JICCO 日本クレジットカウンセリング協会
任意整理中に借入する5つのリスク

任意整理中の借入で考えられるリスクは次のとおりです。
- 返済額が増える可能性がある
- 依頼している弁護士や司法書士が辞任する
- 支払いの督促や取り立てが再開する
- 遅延損害金が発生する
- 一括請求される・裁判を起こされる
それぞれ詳しく解説します。
リスク1.返済額が増える可能性がある
1つ目のリスクは、返済額が増える可能性があることです。
任意整理中にお金を借りられる業者の多くは、通常よりも金利が高く設定されています。
一般的な金融機関の金利 | 任意整理中でも借りられる業者の金利の例 |
上限金利年間15~20% | 年間40~50% |
また、闇金融や詐欺まがいの業者に騙される危険性も否定できません。
闇金融とは、法律で定められた上限金利(年間20%)を超えてお金を貸す業者です。
闇金融の金利は10日で4割(年1.460%)や10日で5割(年1.825%)といった設定が多く、なかには1日1割という高金利を取る業者も存在します。
このように、任意整理で借金を整理しても、新たな借入をするとかえって返済額が増えてしまい、返済が困難になる恐れがあるのです。
リスク2.依頼している弁護士や司法書士が辞任する
任意整理中の借入は、弁護士や司法書士が辞任してしまうリスクも考えられます。
新規借入が任意整理を前提に行った悪質なものだと判断され、既存の債権者は任意整理での和解交渉に応じなくなり、財産の差し押さえなどの法的手続きに進む可能性があります。
強制執行まで進むと弁護士は交渉の余地がなくなり、代理人を辞任せざるを得ません。
また、弁護士が依頼者の借金整理のために力を尽くしているのに対し、隠れて借入をする行為は裏切りも同然です。
信頼関係を損ない、弁護士が辞任するリスクも高まるため、どうしても資金が必要な場合は事前に弁護士に相談する必要があるでしょう。
リスク3.支払いの督促や取り立てが再開する
弁護士が辞任した場合、任意整理を依頼したことで止まっていた督促や取り立てが再開することになります。
債権者からの電話や督促状が再び届くようになるため、精神的なストレスが増え、日常生活に大きな支障が出る恐れもあるでしょう。
リスク4.遅延損害金が発生する
弁護士の辞任で支払いの督促や取り立てが始まると手続き期間に停止していた分の遅延損害金(ちえんそんがいきん)も、あわせて請求される可能性があります。
遅延損害金とは、借金の返済が遅れた場合に払う損害金です。
遅延損害金が加算されることで、結果的に手続き前よりも総返済額が増え、さらに返済が厳しくなる可能性があります。
リスク5:一括請求される・裁判を起こされる
任意整理中の借入が発覚し、任意整理を前提に行った悪質なものだと判断された場合、債権者は残債の一括請求や法的手続きを取る可能性があります。
一括請求に応じない場合は裁判を起こされ、給与や預貯金口座を差し押さえを受ける可能性もないとはいえません。
このように、任意整理前よりも深刻な状況になる恐れがあるため、注意が必要です。
任意整理中にお金が必要な場合の対処法

任意整理中の新規借入は避けるべきですが、医療費や学費など、急な出費で資金が必要になる場合もあるでしょう。
任意整理中にお金が必要になった場合の対処法は、次のとおりです。
- 副業などで収入を増やす
- 公的支援を利用する
- 家族に相談する
- 依頼している弁護士に相談する
それぞれ詳しく解説します。
副業などで収入を増やす
借入ではなく、副業や休日出勤で収入を増やすのも選択肢の一つです。
副業としては土日のみのアルバイトをしたり、フリマアプリへ不用品を出品したりと、さまざまな稼ぎ方があります。
ただし、短時間で多く稼げるとうたう求人は、闇バイトや副業詐欺の可能性もあるため注意が必要です。
「短時間で稼げる」「簡単に稼げる」などの甘い言葉に惑わされず、法的に問題のない仕事かよく確認してください。
公的支援を利用する
任意整理中に資金が必要になった場合、「生活福祉資金貸付制度」や「生活保護」などの公的支援が利用できます。
生活福祉資金貸付制度は各都道府県の窓口で相談を受け付けており、手続き方法や制度の内容も地域によって異なります。
例えば、東京都で実施している支援制度は以下のとおりです。
東京都で実施している支援制度 | 目的 |
総合支援資金 | 生活再建 |
福祉資金教育支援資金 | 具体的な目的がある場合 |
緊急小口資金 | 緊急かつ一時的な生計維持 |
不動産担保型生活資金 | 低所得の高齢者が対象生活資金 |
臨時特例つなぎ資金貸付制度 | 住居のない離職者の生活資金 |
生活保護を受給する場合は、そのお金を任意整理の返済に充てることはできません。
そのため、実質的に生活保護を受けながらできる債務整理は、自己破産のみとなります。
自分に最適な支援を検討する際は、任意整理を依頼した弁護士に相談するのがおすすめです。
家族に相談する
一時的に資金が必要な場合は、家族や親族に相談するのも選択肢の一つです。
ただし、財産を無償で譲る贈与の形ではなく借入の場合は、任意整理後の返済計画に支障をきたす可能性があります。
家族や親戚から借入する場合は、依頼している弁護士に相談しておくのがおすすめです。
また、知り合いからの借金だからといって返済がルーズになると、のちのちトラブルに発展しかねません。家族や親戚からの借入でも、返済計画を明確にしておくとよいでしょう。
依頼している弁護士に相談する
任意整理中に資金繰りに困った場合、依頼している弁護士への相談で解決するケースもあります。
もし、2か月以上返済が滞ると、分割払いの権利がなくなり、一括請求のリスクがあります。支払いが困難になりそうな場合は、早めに弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談すれば状況を把握した上で、適切な対応策を提案してもらえるでしょう。
任意整理中の資金難を弁護士へ相談する4つのメリット

任意整理中の資金面で困った際は、一人で抱え込まずに弁護士に相談することで、さまざまな解決策を見いだせる可能性があります。
弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。
- 弁護士費用を後払いできる可能性がある
- 公的支援について説明してもらえる
- 月々の返済額を変更してもらえる可能性がある
- 他の債務整理の方法を提案してくれる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1.弁護士費用を後払いできる可能性がある
多くの法律事務所では、任意整理時の弁護士費用の後払いに対応しています。
着手金や報酬金の分割払いや支払い時期の調整、一時的な支払い猶予など、依頼者の経済状況に応じて費用の支払い方法を柔軟に調整してくれるケースがほとんどです。
当初は支払える予定だった弁護士費用も、予期せぬ事情で支払いが難しくなるケースもあるでしょう。
分割払いや後払いにする場合、依頼前に相談するのが理想的ですが、早めの相談で対応してもらえる可能性があります。
メリット2.公的支援について説明してもらえる
任意整理を依頼している弁護士は、公的支援制度の活用についても助言してくれます。
どの制度が向いているかや、書類の作成方法を説明してもらえば、役所への申請もスムーズにできるでしょう。
また、生活福祉資金貸付制度や生活保護を受ける場合、弁護士が代理人として申請することも可能です。ただし、別途費用がかかる場合もあるため、事前の確認をおすすめします。
メリット3.月々の返済額を変更してもらえる可能性がある
任意整理を依頼している弁護士に相談すると、返済額や返済期間を変更する再和解ができる可能性があります。
月々の返済額を減額したり、支払い時期を調整してもらったりすれば、新たな借入の必要もなくなるでしょう。
ただし、支払い額や時期の変更は債権者の同意が必要になるため、必ずしも希望どおりになるとは限りません。
すでに債権者がこれ以上譲れないギリギリの条件で合意してくれている場合や和解成立から間もなくまだ一度も返済をしていない場合は、交渉に応じてもらえない可能性があります。
再和解を成功させるには、延滞せず継続して返済して信用を積み立てることが重要です。「返済できなくなった理由」を誠実に伝えるのも再和解を成功させるポイントのひとつです。
メリット4.他の債務整理の方法を提案してくれる
任意整理中に返済が難しくなったり、生活資金が足りなくなったりした際は、弁護士が他の債務整理の方法を提案してくれる場合もあります。
個人再生 | 裁判所を通して借金を5分の1〜10分の1に減額できる |
自己破産 | 裁判所を通して借金の支払い義務を免除してもらう |
ただし、個人再生や自己破産の手続きに移行する場合は、新たに30~50万円程度の費用が必要です。
そもそも、弁護士は任意整理後に支払い困難にならないよう、適切な債務整理方法を提案し、無理のない返済額で和解交渉を進めてくれます。
事故や病気など、予期しない理由で返済困難になることもありますが、任意整理後に支払いが苦しくなった場合は、最初の選択が誤っていた可能性が考えられます。
自分に最適な方法で債務整理するためにも、借金問題に強い弁護士に相談・依頼するとよいでしょう。
以下の記事では、個人再生と自己破産についてそれぞれ詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。
▼関連記事
自己破産したらどうなる?費用や流れなど基礎知識をわかりやすく解説
任意整理中にお金が必要になったら弁護士に相談しよう

任意整理中の新規借入は、多くのリスクを伴い、結果となります。
手続きを台無しにしてしまうだけでなく、弁護士が辞任してしまうと、債権者からの督促の再開や一括請求の可能性もあります。
任意整理中にお金が必要になった場合は、安易な借入を避け、まずは依頼している弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士は、支払い方法の調整や公的支援制度の活用、返済条件の見直しなどの対応策を一緒に検討してくれます。
信頼できる弁護士への早めの相談で、よりよい解決策を見つけてください。
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