「任意整理しなければよかった」と感じるのはなぜ?後悔しないための対策
投稿日: 2025.02.14 | 更新日: 2025.02.14

「任意整理しなければよかったという声を聞くけど本当?」
「任意整理が自分に合っているか知りたい」
任意整理は債務整理手続きの一つで、将来利息をカットして借金の減額を目指す方法です。
債権先を選べる、周囲にバレにくいなどのメリットがありますが、自分の状況に合っているかきちんと見極めないと、「任意整理しなければよかった」と感じることになりかねません。
この記事では、任意整理を後悔しやすい理由や、タイミング別の後悔しないための対策を解説します。
任意整理のメリット・デメリットや、任意整理をしたほうがいい人・しないほうがいい人についても紹介するため、任意整理するべきかどうか知りたい人は参考にしてください。
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任意整理は裁判所を通さずに借金の返済額を減らす方法
任意整理は、貸金業者と交渉して将来利息をカットし、借金の減額や返済期間の延長を求める方法です。
業者と和解できれば借金の元金だけが残るため、毎月無理のない返済額に設定し、原則3年〜最長5年の分割払いで完済を目指します。
また、過去に払いすぎた利息があれば、過払い金請求をして取り戻し、返済額を減らすことも可能です。
裁判手続きも不要で、債務整理の中でも手軽な方法として人気ですが、状況によっては合わないこともあるため注意が必要です。
債務整理の種類については、以下の記事も参考にしてください。
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債務整理の種類を解説!4種類の特徴・メリット・デメリットとは?
「任意整理しなければよかった」と後悔する理由7選
任意整理した人の中には、「任意整理しなければよかった」と感じる人も存在します。
任意整理を後悔しやすい7つの理由は次のとおりです。
- 月々の返済が必要になる
- 大幅な減額が見込めない
- クレジットカードを作ったりローンを組んだりできなくなる
- 任意整理に応じない業者がいる
- 自分の状況に合った解決策ではない
- 返済を完遂できる収入の見込みがない
- 借入額が少なくリスクとリターンが合っていない
一つずつくわしく解説します。
1.月々の返済が必要になる
任意整理は月々の返済額を減らし、3〜5年での借金完済を目指すものです。
そのため、任意整理したあとも毎月の支払いは続いていくことになります。
自己破産のように、借金の支払い義務をなくせる手続きだと勘違いしていると、後悔に繋がるため注意が必要です。
2.大幅な減額が見込めない
任意整理では、個人再生や自己破産などの方法に比べると、借金の大幅な減額は見込めません。
そもそも任意整理は、将来的に発生する利息をカットするものであり、元金を減らす方法ではないためです。
債務整理の方法 | 減額幅 |
任意整理 | 将来利息のカット |
個人再生 | 1/5〜1/10に減額 |
自己破産 | 借金の支払いを免除 |
奨学金などの教育ローンや労働金庫・共済組合からの借入、日本制政策金融公庫からの事業資金など、そもそも金利が低い借入の場合は、利息をカットしても総支払い額があまり変わらない場合があります。
金利が高い、または借金総額が多い場合は、個人再生や自己破産を選ぶほうがメリットが大きいでしょう。
3.クレジットカードを作ったりローンを組んだりできなくなる
任意整理すると、新たにクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりできなくなります。
債務整理した事実は、信用情報機関に事故情報として登録され、完済から約5年はその状態が続きます。
この状態を俗に「ブラックリストに載る」といい、クレジットカードはすべて解約され、家や車・スマホなどのローンも組めません。
「現金以外の支払い手段がないと困る」という人は、デビットカードやプリペイドカード、家族カードの利用を検討してください。
ブラックリストについて、くわしくは以下の記事でも解説しています。
▼関連記事
債務整理のブラックリストはいつ消える?期間やリスクを徹底解説
4.任意整理に応じない業者がいる
基本的に、ほとんどの業者は任意整理に応じてくれますが、次のようなケースでは交渉に応じない場合があります。
- 借入期間が短い
- これまでの返済額が少ない
- 返済の延滞歴がある
- 業者が新規貸付を停止している
業者と和解しないと任意整理はできないため、この場合は個人再生か自己破産を検討しなければなりません。
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アコムの債務整理者への対応について徹底解説|減額や分割はできるのか?
5.自分の状況に合った解決策ではない
そもそも、自分の状況に合った解決策を選べなかった場合も、後悔に繋がります。
例えば、借入額が大きかったり、金利の低い借金を整理したいと考えていたりする場合、任意整理ではなく個人再生や自己破産のほうが向いている場合もあります。
また、もともと支払っていた返済額が少ないと、任意整理後の支払い額のほうが増えてしまうこともありえるのです。
自分の状況にどの方法がふさわしいかは素人判断せず、知識のある弁護士や司法書士に相談するといいでしょう。
6.返済を完遂できる収入の見込みがない
借金の返済を完遂できる収入の見込みがないと、任意整理に失敗し後悔に繋がる恐れがあります。
任意整理の和解後は、3〜5年で借金を完済しなければならず、安定した収入が必要です。
しかし、ケガや病気で働けず無職だったり、日雇いのアルバイトで食いつないでいたりする状態では、支払いを完遂できるとは言い切れません。
また、自営業で毎月の収入に開きがある場合も、安定収入があるとは認められない可能性があります。
収入に不安がある人は、無料相談などを利用し、弁護士にアドバイスをもらうのがおすすめです。
7.借入額が少なくリスクとリターンが合っていない
借入額が少なく、弁護士費用のほうが高くついてしまうことも、任意整理を後悔する原因の一つです。
例えば、借入額が100,000円程度であれば費用倒れになるため、任意整理しないほうがメリットが大きくなります。
任意整理自体はいくらからでも可能ですが、弁護士費用と借入額の兼ね合いを見て判断することが重要です。
タイミング別|任意整理で後悔しないための対策
ここでは、任意整理手続きのタイミング別に、後悔しないための対策をまとめました。
- 【手続き前】任意整理のメリット・デメリットを正しく理解する
- 【手続き時】自分の状況に合った弁護士・司法書士を選ぶ
- 【弁護士への依頼時】無理のない返済計画を立てる
- 【返済中】油断せずにきちんと返済を続ける
一つずつくわしく解説します。
【手続き前】任意整理のメリット・デメリットを正しく理解する
手続きを始める前には、任意整理のメリット・デメリットを正しく理解しておくことが重要です。
メリット | デメリット |
・利息カットで支払い負担を減らせる ・整理する債権先を選べる ・周囲にバレにくい ・資産を手放す必要がない ・督促が止まる ・裁判所手続きがなく手軽にできる ・過払い金返還の可能性がある | ・元金は減らない ・クレジットカードの作成やローンの借入が制限される ・交渉が成立するとは限らない ・月々の返済義務は残る ・安定収入が必要である ・銀行口座を整理すると口座凍結する |
それぞれくわしく解説します。
メリット
任意整理のメリットは次のとおりです。
- 利息カットで支払い負担を減らせる
- 整理する債権先を選べる
- 周囲にバレにくい
- 資産を手放す必要がない
- 督促が止まる
- 裁判所手続きがなく手軽にできる
- 過払い金返還の可能性がある
任意整理では将来利息のカットで支払い負担を減らせることや、整理する債権先を選べることが特徴です。
また、車や家などの資産を手放す必要がなく、周囲にバレにくいため、債務整理の中では最も手軽にできます。
さらに、過去に払いすぎた利息があれば、過払い金として請求して返済にあてることも可能です。
このようなメリットを優先したい場合は、任意整理が向いているといえるでしょう。
デメリット
任意整理のデメリットは次のとおりです。
- 元金は減らない
- 月々の返済義務は残る
- 安定収入が必要である
- 交渉が成立するとは限らない
- クレジットカードの作成やローンの借入が制限される
任意整理では利息をカットできますが、元金は減らず、月々の支払い義務は残ります。
そのため安定収入が必要となり、継続的な返済ができない人には向きません。
また、業者と交渉して和解を目指す手続きのため、不成立になる可能性もあることを覚えておいてください。
そのほか、完済後5年程度はブラックリスト状態となり、カードやローンの利用に制限が出る点に注意が必要です。
上記のデメリットを踏まえた上で、本当に任意整理するべきかどうか検討するといいでしょう。
【手続き時】自分の状況に合った弁護士・司法書士を選ぶ
任意整理すると決めたら、自分の状況に合った弁護士・司法書士を選ぶことも重要です。
次のポイントをチェックしてください。
- 弁護士と司法書士の違いを理解する
- 無料相談を利用する
- 得意分野や実績を確認する
一つずつ解説します。
弁護士と司法書士の違いを理解する
任意整理手続きは弁護士・司法書士のいずれも行えますが、取り扱い範囲に次のような違いがあります。
弁護士 | 司法書士 | |
取り扱える債務額の制限 | 制限なし | 1社あたり140万円以下 |
裁判所での代理権 | すべての裁判所で代理人になれる | 簡易裁判所のみ |
自己破産・個人再生の申立て | 代理人として申立て可能 | 書類作成の補助のみ可能 |
1社あたりの債務額や過払い金が140万円を超える場合、司法書士では取り扱いができません。
また、裁判所での代理権を持っていないことから、もし任意整理できずに個人再生や自己破産になった場合は書類作成しかできないことも覚えておいてください。
無料相談を利用する
多くの法律事務所では無料相談を受け付けているため、複数の事務所で相談するのが理想的です。
実際に弁護士と話してみて、コミュニケーションに問題はないか、明瞭な費用で不安がないかなどをチェックし、依頼する弁護士を決定します。
地方に住んでいる場合、相談のみならオンラインやメールでも可能ですが、実際の依頼時には直接面談する必要があります。
得意分野や実績を確認する
依頼時には、とくに債務整理分野を得意とし、実績が豊富な弁護士を選ぶのがおすすめです。
弁護士は通常、相続・交通事故・刑事事件など、それぞれ得意分野を持っています。
そのため、債務整理に関する経験や知識が豊富な弁護士を選ぶことで、成功する確率を上げられるでしょう。
法テラスのような無料相談窓口もありますが、利用には条件があり、希望の弁護士を選べない場合があるため注意が必要です。
▼関連記事
債務整理の無料相談でできることは?おすすめの法律事務所も紹介
【弁護士への依頼時】無理のない返済計画を立てる
弁護士へ任意整理を依頼するときは、無理のない返済計画を立てるため、以下のポイントに注意してください。
- そもそも任意整理が合っているのか判断してもらう
- クレジットカードの代替手段を用意しておく
- 無理のない返済額に設定する
- 支払いを延滞した場合のリスクを理解しておく
そもそも任意整理が合っているのか判断してもらう
まずは、そもそも自分のケースに任意整理が合っているのか、専門家に判断してもらうことをおすすめします。
債務額や債権者数、収入状況などによっては、任意整理で支払い額が増えてしまったり、費用倒れになったりする可能性もあるためです。
家族にバレたくないなど、自分が優先したいことも伝えた上で弁護士と相談し、よく考えた上で返済計画を立てると安心です。
クレジットカードの代替手段を用意しておく
任意整理すると、完済から約5年間はクレジットカードが使えなくなるため、その間の代替手段を用意しておくと便利です。
例えば、次のような支払い方法が使えます。
- デビットカード
- プリペイドカード
- 交通系ICカード
- QRコード決済
- 家族カード
- 後払い決済サービス
- デポジット型クレジットカード
そのほか、スマホは中古や一括払いで買う、車はカーリースを利用するなどの方法があります。
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債務整理中にクレジットカードは使える?作れる時期もあわせて徹底解説!
無理のない返済額に設定する
任意整理後に、延滞や支払い不可能状態を引き起こさないよう、無理のない返済額に設定することも大切です。
任意整理では3年・36回の分割払いが一般的ですが、難しい場合は5年・60回まで延ばすこともできます。
生活に必要な金額を把握し、ゆとりのある返済額になるよう、弁護士に交渉してもらってください。
自力での管理に自信がない場合は、弁護士に支払いを代行してもらう「送金代行」を利用し、支払い忘れを防ぐのも方法の一つです。
支払いを延滞した場合のリスクを理解しておく
任意整理した後に支払いを延滞すると、業者から一括請求されたり、財産の差し押さえを受けたりする可能性があります。
一回目かつ数日〜数週間程度の延滞であれば、督促状や電話での注意程度で済みますが、1ヵ月以上放置すると一括請求書が届き、遅延損害金を請求されてしまいます。
一括請求も無視した場合は、依頼した弁護士の辞任や財産の差し押さえもありえるため、リスクを理解して延滞をしないことが大切です。
【返済中】油断せずにきちんと返済を続ける
任意整理で無事和解できたら、油断せずにきちんと返済を続けていくことが何より重要です。
弁護士に依頼してから返済が始まるまでは、督促・返済が一時的にストップするため、ついつい気が緩んでしまうかもしれません。
せっかく任意整理できても、途中で返済ができなくなると今までの頑張りが無駄になり、後悔につながる恐れがあります。
そのため、返済が止まっている間に無駄遣いを避けて少しでも積み立てておく、節約を心がけるなど、返済が始まってからも困らないよう対策しておくのがおすすめです。
任意整理をしたほうがいい人・しないほうがいい人とは
任意整理をしたほうがいい人、しないほうがいい人は次のとおりです。
- 【任意整理したほうがいい人】周囲に知られずに返済額を減らしたい
- 【任意整理しないほうがいい人】奨学金などの金利が低い借金がある
- 自分に最も合った債務整理の方法を検討しよう
自分が当てはまる部分がないか、チェックしてみてください。
【任意整理したほうがいい人】周囲に知られずに返済額を減らしたい
任意整理したほうがいいのは、次のような人です。
- 周囲にバレずに手続きしたい
- 保証人に迷惑をかけたくない
- 残したい財産がある
- 借入額がそこまで大きくない
任意整理は裁判手続きがなく周囲にバレにくいことから、家族や会社に内緒で手続きしたい人におすすめです。
また、整理する債権先を選択でき、保証人がついている借金だけを外せるため、保証人に迷惑をかけずに借金を整理したいという人に向いています。
加えて、減らせるのは将来利息のみで減額幅が小さいことから、借入額がそこまで大きくない場合に向いているでしょう。
【任意整理しないほうがいい人】奨学金などの金利が低い借金がある
任意整理しないほうがいいのは、次のような人です。
- 借入額が大きい
- 金利が低い借金がある
- 業者が交渉に応じない借金がある
任意整理は利息をカットして返済額を減らす方法のため、借入額が大きい場合や、奨学金のような利息が低い借金を整理するのには向きません。
また、そもそも交渉に応じない業者もおり、その場合は不成立となってしまうため注意が必要です。
自分に最も合った債務整理の方法を検討しよう
任意整理が向かない場合は、自分に最適な債務整理の方法を検討しなければなりません。
とくに借入額が大きく、業者が交渉に応じない場合は、個人再生か自己破産を選ぶ必要があります。
また、安定収入があり、継続的な返済ができるかどうかでも、選ぶべき方法は異なります。
「任意整理しなければよかった」と後悔しないために、あらゆる可能性を探っておくのが理想的です。
任意整理以外の債務整理の方法
債務整理には、任意整理以外に次の2つの方法があります。
- 個人再生
- 自己破産
それぞれどんな人に向いているのか、くわしく解説します。
個人再生
個人再生は、裁判所を通して借金を1/5〜1/10まで減額する手続きです。
認められれば、残りの借金を3〜5年かけて返済します。
ただし、すべての借金を整理するため保証人に影響が出るほか、もし返済できなくなると手続きが取り消しになるリスクがあります。
とはいえ、借金の大幅な減額が期待できる上、条件を満たせば家や車などの資産を残せるため、任意整理できなかった場合の選択肢としておすすめです。
くわしくは、以下の記事も参照してください。
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自己破産
自己破産は裁判所に申し立て、借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。
車・家・99万円以上の現金などの財産は没収されますが、生活に必要な最低限の家具家電は手元に残せます。
成立すればその後の返済がなくなるため、早期に生活の立て直しをはかれるのがメリットです。
ただし、ギャンブルや投資が原因の借金では認められない、特定の職業に就けないといった厳しい面もあります。
そのため、借金が膨らみすぎてどうしようもなくなったときの、最後の手段としておすすめです。
くわしくは、以下の記事も参照してください。
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自己破産したらどうなる?費用や流れなど基礎知識をわかりやすく解説
任意整理で後悔しないためにまずは弁護士に相談しよう
「任意整理しなければよかった」と感じるのは、思ったより減額できなかった、ブラックリストの影響があった、交渉が成立しなかったなどのケースがあります。
そもそも自分に任意整理が向いているのか、他の方法が合っているのではないかなど、あらかじめよく確認しておくといいでしょう。
任意整理で後悔しないためには、メリット・デメリットを正しく理解した上で無理のない返済計画を立て、完済まできちんと返済を続けることが大切です。
無料相談を通じて信頼できる弁護士を見つけ、任意整理について相談してみてください。
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