任意整理後に2回滞納するとどうなる?回数別の影響や対処法を解説
投稿日: 2025.06.03 | 更新日: 2025.06.03

「任意整理後の支払いを2回滞納したらどうなる?」
「支払い遅れは何ヶ月まで待ってもらえるの?」
任意整理した後の支払いを滞納しても、1回だけなら大きな問題はありません。
ただし、2回以上続くとさまざまな影響が考えられるため、注意が必要です。
本記事では、任意整理後に2回滞納するとどうなるのか、滞納回数別の影響を解説します。
支払いが遅れそうなときの相談先や、今後の支払いが難しい場合の対処法も紹介するため、任意整理の滞納が続きそうな人はぜひ参考にしてください。
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任意整理後に滞納するとどうなる?滞納回数別の影響

任意整理後に支払いを滞納した場合、滞納回数別の影響は次のとおりです。
- 1回だけの遅れ:大きな問題にはならない
- 2回目以降の遅れ:任意整理の取り消しや一括請求を受ける可能性がある
- 一括請求後の放置:給与や財産が差し押さえになる可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
1回だけの遅れ:大きな問題にはならない
1回だけの遅れであれば、大きな問題にはならないことがほとんどです。
冠婚葬祭などで急な出費があったり、税金の支払いがあったりして、1回だけどうしても支払いが遅れてしまうことは誰にでもありえることです。
そんなときは、支払いが遅れた理由や、いつまでに入金できるか誠意を持って伝えれば、待ってもらえる可能性が高いでしょう。
支払いが遅れると、数日で債権者から督促が届いたり弁護士から連絡が入ったりしますが、間違っても連絡を無視しないようにしてください。
また、和解条件によっては遅延損害金が発生することもあるため、注意が必要です。
2回目以降の遅れ:任意整理の取り消しや一括請求を受ける可能性がある
2回以上支払いが遅れると、任意整理の取り消しや一括請求を受ける可能性があります。
任意整理の和解書には「期限の利益」という項目があり、「2回以上延滞した場合には乙(任意整理した人)は期限の利益を喪失する」と書かれていることがほとんどです。
「期限の利益」とは、一定の期限まで支払いを待ってもらえる権利のことです。
期限の利益を失うと借金の分割払いが成り立たなくなり、残額を一括請求されてしまいます。
支払いが遅れてしまいそうなときは、債権者とどのような約束になっていたか、和解書で改めて確認してみてください。
一括請求後の放置:給与や財産が差し押さえになる可能性がある
2回以上支払いを滞納し、一括請求が来ても放置した場合、給与や財産が差し押さえになる可能性があります。
債権者が裁判所へ支払督促を申し立て、一括返済ができなければ、債権者が差し押さえを強制執行できる「債務名義」を取得します。
遅延損害金が加算された残債を一括返済することは、ほとんどのケースで不可能に近いため、給与や預貯金、不動産などの財産が差し押さえられることになるのです。
このように、任意整理後の滞納には厳しい対処が待っています。支払いが厳しいときは、なるべく早い時点で債権者や弁護士に相談してください。
連続滞納と通算滞納の違い

任意整理で2回以上支払いが遅れる場合、連続滞納と通算滞納の2パターンがあります。
連続滞納 | 連続して2回分の支払いが遅れる |
通算滞納 | ・間隔をあけて合計2回以上滞納する ・滞納額の合計が2回分の返済額に達する |
それぞれの特徴や違いを解説します。
いずれも2回の滞納で任意整理が無効となる
連続滞納も通算滞納も、2回以上で任意整理が無効となる点は同じです。
和解書に「2回の滞納で和解は無効」と記載があり、すでに1回滞納している場合は、必ず次の期日までに支払いをしてください。
滞納が1回までで、翌月以降に滞納しないようにすれば、特に影響はありません。
和解書の条件によって期限の利益を失う条件は異なる
和解書の条件によって、期限の利益を失う条件が異なる点には注意が必要です。
例えば、和解書に「1回の滞納で和解は無効」と記載がある場合は、1回でも滞納すると任意整理の取り消しや差し押さえのリスクがあります。
また、支払いが遅れた回数ではなく、滞納額の合計が2回分の返済額に達するかどうかを和解書に記載しているケースもあります。
「1回までなら滞納しても大丈夫だろう」と安易に考えず、和解書は必ずチェックしておくべきでしょう。
任意整理の支払いが遅れそうなときの対処法

任意整理の支払いが遅れそうなときの対処法は次のとおりです。
- 自分で返済している場合:債権者に連絡する
- 法律事務所の返済代行を利用している場合:担当の弁護士に連絡する
それぞれ詳しく解説します。
自分で返済している場合:債権者に連絡する
任意整理後の支払いを、債権者が指定する口座に自身で振り込んでいる場合は、直接債権者に電話で連絡してください。
その際は、支払いが遅れる理由と、いつまでに支払えるかを伝えます。
誠意を込めて伝えれば、これまでどおりの返済を続けられる可能性を上げられるでしょう。
法律事務所の返済代行を利用している場合:担当の弁護士に連絡する
法律事務所の返済代行を利用している場合は、まずは担当の弁護士に連絡してください。
返済代行は、事前に担当の法律事務所の口座に返済金をまとめて振り込んでおくと、弁護士が各債権者へ期日までに振り込んでくれる制度です。
事務所に相談する際にも、いつまでなら支払えるかをしっかり伝えることが大切です。
これまでの態度や姿勢に問題がなければ、事務所の積立金から一時的に立て替えてもらえる可能性もあるでしょう。
任意整理した後に支払いが難しいときの対処法

任意整理した後に支払いが難しいときの対処法は次のとおりです。
- もう一度任意整理する
- 他の借金を任意整理する
- 個人再生を検討する
- 自己破産を検討する
それぞれ詳しく解説します。
もう一度任意整理する
まず、もう一度任意整理する方法があります。
これを「再和解」といい、債権者によっては、期限を守れずに滞納してしまっても再び交渉に応じてもらえる場合があります。
ただし、一回目で取り決めた約束を守れなかったため、以下のように最初の任意整理よりも厳しい返済条件を提示される可能性が高いでしょう。
- 返済期間の短縮
- 毎月の返済額の増額
- 期限の利益を喪失するまでの回数の減少
再和解を目指す場合には、債権者との信用関係が壊れる前に動くことが大切です。
そのため、一回でも滞納してしまった時点で、任意整理を依頼していた弁護士に相談するのがおすすめです。
他の借金を任意整理する
最初の任意整理で対象外にしていた債権者に対して、改めて任意整理で交渉する方法もあります。
これを「追加介入」といい、借金返済の負担が軽くなって支払いがスムーズになる効果が期待できるでしょう。
ただし、一回目の任意整理で対象から外した借金には、次のような理由があったことが考えられます。
任意整理対象から外す可能性が高い借金
- 借入自体が少額・低金利などで減額効果が薄い
- 自動車ローンを支払い中で、任意整理すると車が引き上げられる
- 保証人がついている借金で、任意整理すると保証人が一括請求を受ける
上記の借金を任意整理の対象にすると、さまざまなリスクがつきまといます。
追加介入するかどうかは、担当の弁護士の意見をよく聞き、慎重に判断するべきでしょう。
個人再生を検討する
任意整理による支払いが難しいときは、より減額幅が大きい個人再生を検討してみてください。
個人再生は任意整理と同じ債務整理の一種で、裁判所に申立てて借金を5分の1〜10分の1に減額できる手続きです。
借金の総額が大きいほど減額幅が大きくなり、住宅ローンを支払い中の持ち家を残せるのがメリットですが、デメリットも存在します。
メリット | ・借金を5分の1〜10分の1に減額できる ・住宅ローン特則の利用で持ち家を残せる |
デメリット | ・借金の支払いが3〜5年続く ・手続きが複雑で時間や費用がかかる ・減額対象にする借金を選べない |
個人再生するべきかどうかは状況によって異なるため、弁護士に相談するのがおすすめです。
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自己破産を検討する
個人再生よりさらに強力な手続きとして、自己破産を検討するのも方法の1つです。
自己破産は、税金や保険料など一部を除いて、ほぼすべての借金の返済義務を帳消しにできる債務整理の一種です。
事故や病気などの事情で収入が途絶えたり、自身の収入では返済しきれないほどの借金を負ったりした場合の救済措置であり、次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | ほぼすべての借金の返済義務が免除される |
デメリット | ・家や車などの高価な財産が没収される ・手続きが複雑で時間や費用がかかる ・手続き中は資格制限があり一部の職業に就けない |
一定以上の財産は没収されるデメリットはありますが、その分借金から解放されるメリットも大きいといえます。
任意整理後に返済が難しい場合の選択肢の1つとして、検討してみてください。
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任意整理後に2回以上滞納しそうなら早めに弁護士に相談しよう

任意整理後の支払いを2回以上滞納すると、任意整理の取り消しや差し押さえなどのリスクがあります。
1回までならきちんと誠意を示せば待ってもらえるケースが多いものの、一度滞納するとさまざまな支払いを先送りにすることになり、滞納が続く可能性も高いといえます。
支払いが遅れた場合はすぐに債権者や弁護士に相談することはもちろん、今後も予定どおりの返済が難しそうであれば、個人再生や自己破産を早めに検討するべきでしょう。
任意整理後の支払いが毎月厳しい、すでに1回滞納しているというような状況の人は、2回滞納してしまう前に弁護士に相談するのがおすすめです。
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