任意整理で滞納したらどうなる?影響や対処法・体験談を解説
投稿日: 2025.03.28 | 更新日: 2025.03.28

「任意整理したけど毎月の支払いが厳しい」
「滞納した場合の影響について知りたい」
任意整理は、債権者との交渉で利息のカットや返済期間の延長を求める手続きであり、和解しても元金はなくなりません。
そのため、返済を続けていく中で、どうしても支払えない状況になることも考えられます。
この記事では、任意整理後に支払いを滞納したらどうなるのか、滞納回数や日数ごとに解説します。
滞納した場合の対応策や体験談、注意点、滞納しそうなときにできることもまとめているため、支払いが苦しくて悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
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任意整理後に支払いを滞納するとどうなる?

基本的に、任意整理後は遅れずに支払いを続けるのが鉄則といえます。
和解交渉時に、「2回支払いが遅れたら残債を一括返済する」という条件を課しているケースがほとんどのためです。
しかし、さまざまな事情により、ときには支払いが遅れてしまうこともあるでしょう。
その場合、滞納回数や経過日数によって、債権者は次のような対応を取ります。
- 1回目・数日〜1ヵ月の滞納|督促状が届く
- 2回目・2ヵ月の滞納|一括請求される可能性がある
- 一括請求を無視した場合|財産を差し押さえられる可能性がある
1つずつ詳しく解説します。
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1回目・数日〜1ヵ月の滞納|督促状が届く
滞納が1回目かつ、数日〜1ヵ月までであれば、督促が来る程度で大きな問題にはなりません。
次の返済日までに支払うか、次の返済日に2回分を支払うなどして、遅れを解消すれば大丈夫です。
ただし、和解時に「1回の滞納で一括返済する」という条件にしているケースもまれにあるため、和解書は必ず確認してください。
督促は通常、本人に届きますが、任意整理を依頼した事務所を通じて連絡が来ることもあります。
もし一時的にではなく、支払いできない状態が2ヵ月以上続きそうな場合は、早い時点で弁護士に相談しておくといいでしょう。
2回目・2ヵ月の滞納|一括請求される可能性がある
滞納が2回・2ヵ月以上になると、残債を一括請求される可能性が高まります。
和解交渉時に取り決めた、3〜5年の分割払いにしてもらう条件のことを「期限の利益」といいます。
任意整理においては、2ヵ月滞納すると、期限の利益を失うケースがほとんどです。
一度期限の利益を失えば、たとえ2ヵ月分をまとめて支払っても、再び分割払いには戻せません。
また、残債にはクレジットカード会社の場合で年14.6%、消費者金融の場合で年20.0%の遅延損害金が加算されることになります。
さらに、弁護士が債権者への支払いを代行していた場合、辞任される恐れもあるでしょう。
一括請求を無視した場合|財産を差し押さえられる可能性がある
2ヵ月以上滞納してしまい、一括請求されても無視を続けた場合、財産を差し押さえられる可能性があります。
債権者が裁判所へ支払督促を申し立て、一括返済ができなければ、債権者が差し押さえを強制執行できる「債務名義」を取得するためです。
遅延損害金が加算された残債を一括返済することは、ほとんどのケースで不可能に近く、給与や預貯金、不動産などの財産が差し押さえられるリスクがあります。
任意整理後の滞納には厳しい対処が待っているため、支払いが難しいと事前にわかっている場合は、弁護士や債権者に相談しておくのがおすすめです。
任意整理後の支払いを滞納した場合の対応策

事前に対応策を取ったとしても、家庭の事情や失業などで、支払いができないことも十分に考えられます。
すでに支払いを滞納してしまった場合は、次の対処法を取ってください。
- 1回の滞納ならすぐに支払いをする
- 支払いが難しいなら再和解を検討する
- 再和解が難しいなら追加介入を検討する
- 再和解や追加介入が難しいなら他の債務整理を検討する
1回の滞納ならすぐに支払いをする
滞納が1回目なら、気付いたタイミングですぐに支払えば大丈夫です。
まだ分割返済が有効であり、遅延損害金も加算されません。
もし、翌月も支払いが厳しいとわかっている場合は、この時点で弁護士や債権者に連絡を入れるのがベストです。
債権者によっては、あらかじめ相談しておくことで柔軟に対応してくれるケースもあります。
どんな理由で支払いが遅れそうなのか、いつまでなら支払えるのかを、誠意を持って伝えてください。
支払いが難しいなら再和解を検討する
2回以上滞納してしまい、今後も支払いが難しい場合は、再び債権者と交渉して条件の変更を目指す「再和解」を検討します。
とはいえ、一度滞納した債務者の返済能力への不安や、再和解しても返済条件が1回目より厳しくなるケースが多いことから、和解に応じない債権者も少なくありません。
「以前より収入が減った」「返済を始めて間もない時期に2回以上滞納した」といった状況では、再和解で債権者と合意することは難しいでしょう。
再和解が難しいなら追加介入を検討する
再和解が難しければ、まだ整理していない借金を任意整理する「追加介入」を検討します。
追加介入によって月々の返済額を減らせれば、返済遅れを解消できる余地があります。
ただし、最初に整理対象から外した理由が「保証人がついている」「車を手放したくない」といったものであれば、保証人への影響や車を手放す必要も出てくるでしょう。
また、追加介入しても月々の返済額が大きく変わらなかったり、そもそも収入が減っていたりする場合は、追加介入するメリットはほぼありません。
再和解や追加介入が難しいなら他の債務整理を検討する
再和解や追加介入が難しい場合は、任意整理以外の債務整理を検討してください。
個人再生では、裁判所に申し立てることで元金を5分の1〜最大10分の1に減らせます。
家や車などの高価な財産がない場合、借金を100万円まで減額できるため、3年間の支払いでも月々約28,000円の支払いで済みます。
一方、支払い能力がないときや、債権者の信用を失ってしまっているときは、自己破産が効果的です。
家や車などの一定の財産は没収になるものの、その後の支払いはすべて免除されます。
ただし、個人再生と自己破産のどちらを選ぶ場合でも、再び弁護士費用や裁判費用がかかることは覚えておいてください。
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自己破産したらどうなる?費用や流れなど基礎知識をわかりやすく解説
任意整理後に滞納した人の相談・体験談2選

ここでは、任意整理後に滞納した人の相談・体験談を紹介します。
- 先月分を遅れて返済したが今月分も滞納しそうである
- 任意整理で支払いが難しくなり自己破産を検討している
自分の状況と照らし合わせながら、参考にしてみてください。
先月分を遅れて返済し今月分も滞納しそうである
只今、任意整理をして支払いをしていますが先月分を今月の2日(日)に支払いました。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10300274855?utm_source=chatgpt.com
今月分の支払いも2〜3日遅れそうなのですが、2ヶ月滞納すると一括請求とは良く聞きますが、この場合も一括請求されますか?
現在債務整理をしていますが、先月支払いができず滞納してしまいました。昨日滞納分を入金しました。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10286621435?utm_source=chatgpt.com
毎月末日の約束で今月分も10/11まで支払いができそうにありません。
8月分滞納→9月分の期日前に8月分入金→9月分滞納。だと1ヶ月分滞納になるのでしょうか?
それとも完済までにトータル2ヶ月分滞納したことがあるとアウトでしょうか?
先月分の支払いが遅れてしまい、今月に入ってから返済。今月分も滞納しそうだという体験談です。
任意整理では、ほとんどのケースで「2ヵ月以上の滞納で一括請求する」と取り決めを交わしているため、まずは和解書を見て、期限の利益の定めについて確認が必要です。
2つの相談例のように、1ヵ月分の支払いが数日遅れただけであれば、基本的にはセーフです。
多くは連続で2ヵ月、2回分の滞納で期限の利益が失効するため、たとえ一時的に滞納してしまったとしても、2ヵ月経たないうちに必ず支払うようにしてください。
任意整理で支払いが難しくなり自己破産を検討している
今任意整理中なんですけど、毎月の支払いが出来なくてキツイです。収入は、遺族年金だけです。自己破産に変更しようて思ってます。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11310410196?__ysp=5Lu75oSP5pW055CG44Gn5rue57SN
任意整理後の支払いが難しくなり、自己破産を検討している人の体験談です。
任意整理から自己破産への切り替えは可能ですが、新たに弁護士への依頼費用がかかります。
また、借金の理由がギャンブルや浪費の場合、毎月返済がある任意整理では同じことの繰り返しになるため、自己破産したほうがいいという意見も見られました。
自己破産するとその後の支払いは免除され、約5年経てばクレジットカードの作成や新規の借り入れも可能です。任意整理しても滞納が続くような状況であれば、検討してもいいでしょう。
任意整理後の滞納に関する注意点

任意整理後の滞納に関する注意点は、次のとおりです。
- 滞納している期間は遅延損害金が発生する
- 再和解は条件が厳しくなる傾向がある
- 再和解に応じない債権者もいる
1つずつ詳しく解説します。
滞納している期間は遅延損害金が発生する
まず、返済を滞納している間は、遅延損害金が発生する点に注意が必要です。
和解書に「期限の利益」の項目がある場合、同時に遅延損害金についても取り決めがなされていることがほとんどです。
具体的な額は、和解書を見て確認してみてください。
遅延損害金の利率上限はクレジットカード会社の場合で年14.6%、消費者金融の場合で年20.0%です。
滞納した日数分の遅延損害金が返済額に上乗せされていくため、滞納が長引くほど遅延損害金も膨らみます。
また、再和解できた場合でも、和解までに発生する遅延損害金はカットできません。
そのため、もし再和解や追加介入ができても、返済総額は手続き前より増える可能性もあるのです。
再和解は条件が厳しくなる傾向がある
再和解を目指す場合は、最初の任意整理よりも条件が厳しくなる傾向があります。
2回以上の滞納で一括請求されて再和解を検討したとしても、一度債権者からの信用を損なっているため、対応は厳しいのが現状です。
例えば、次のような傾向があります。
- 返済額が変わらない・下げてもらえない
- 返済額が上がる
- 再和解までの遅延損害金をカットしてもらえない
もともとの任意整理での額でも滞納してしまったのに、再和解で条件が厳しくなれば、返済できる可能性はさらに低くなってしまうでしょう。
再和解に応じない債権者もいる
そもそも、再和解に応じないと決めている債権者も存在します。
債権者にとっては、最初の任意整理で長期での分割払いや利息のカットに応じており、これ以上返済額を下げられないと考えるのも当然です。
この場合は、個人再生や自己破産を検討するしかなくなります。
任意整理後に滞納しそうなときにできること

任意整理後に滞納しそう、または滞納している場合は、プラスで稼いで返済する必要があります。
その際にできることを以下にまとめました。
- 日雇いや単発の仕事で稼ぐ
- 家にある不要品を売る
- スキマ時間で副業する
1つずつ詳しく解説します。
日雇いや単発の仕事で稼ぐ
まずは、次のような日雇いや単発の仕事で稼ぐ方法です。
1日限定のアルバイトを募集するサイトに登録し、自分の都合のいいタイミングで働きます。
履歴書の用意や面接などの手間がなく、条件や相性のいいバイトが見つかると稼ぎやすいのがメリットです。
ただし、居住地によっては仕事が少なかったり、人気の仕事は空きがなかったりすることもあります。
複数のサービスに登録し、上手に使い分けてください。
家にある不要品を売る
一時的にまとまったお金が必要な場合は、家にある不要品を売るのも有効です。
使っていない食器や、タンスに眠っていたブランドもののシャツなど、意外に高値がつくこともあります。
オフハウスなどの中古品買取店や、メルカリなどのフリマアプリを活用するといいでしょう。
手間をかけたくない場合は、宅配買取や出品代行を利用するのがおすすめです。
スキマ時間で副業する
その他、スキマ時間でできる副業もたくさんあります。
- ポイントサイト
- データ入力
- アンケートモニター
- 自己アフィリエイト
- Webライター
スマホ1つあれば始められるものも多く、手軽にできるのが特徴です。
いきなり大金を稼ぐのは難しいですが、コツコツ継続することで家計の足しにできるでしょう。
任意整理後に滞納しそうなら弁護士に早めに相談しよう

任意整理したあとは、滞納せずに支払いを続けるのが原則です。
1ヵ月までなら大きな影響はありませんが、2ヵ月滞納が続くと残債を一括請求され、遅延損害金も発生してしまいます。
放置すると財産を差し押さえられる可能性もあることから、再和解や追加介入、または他の債務整理を検討しなければなりません。
ただし、再和解は条件が厳しくなったり、応じてくれない債権者も多かったりするため注意が必要です。
「支払いが難しい」「滞納しそう」と感じたら、なるべく早い時点で弁護士に相談するようにしてください。
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