任意整理の条件は?できないケースや応じない業者・対処法を徹底解説
投稿日: 2025.02.27 | 更新日: 2025.02.27

「任意整理できる条件には何がある?」
「任意整理できないケースや対処法を知りたい」
任意整理は、債権先と交渉して将来利息をカットし、3〜5年での返済を目指す債務整理手続きの1つです。
保証人がついていない借金を選べる、周囲にバレにくいなどのメリットから任意整理を検討しているものの、任意整理できる条件があるのか気になる人もいるでしょう。
この記事では、任意整理できる条件や任意整理できないケース、任意整理に向いている人について解説します。
条件に合わない場合の対処法も紹介するため、任意整理を考えている人は参考にしてください。
任意整理について、詳しくは以下の記事でも解説しています。
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任意整理とは?後悔しないために知っておきたいメリットや注意点などわかりやすく解説!
任意整理できる3つの条件

任意整理するためには、大前提として、債権者が交渉に応じてくれることが条件です。
その上で、次の3つの条件を満たしていることが求められます。
- 借金の返済実績があること
- 安定した収入があること
- 差し押さえにあっていないこと
それぞれ詳しく解説します。
条件1.借金の返済実績があること
1つ目の条件は、対象となる債権先へ、これまでにある程度の返済実績があることです。
借金をしてからの期間が短く、まだ数回程度しか返済していない場合は、「始めから債務整理するつもりで借りたのではないか」と疑われ、認めてもらえない可能性があるでしょう。
もし病気で働けなかった、失業していたなど、やむを得ない事情で返済できていなかった場合は、弁護士に相談の上で交渉してもらう必要があります。
条件2.安定した収入があること
2つ目の条件は、安定した収入があることです。
任意整理は将来利息をカットする方法であり、元金の返済義務は残ります。
原則3年、最長5年で返済できる見込みがなければ返済計画が立てられず、任意整理できる条件を満たしません。
安定収入があれば雇用形態は問われませんが、返済計画に沿った支払いを最後まで続けられるかが重要です。
条件3.差し押さえにあっていないこと
3つ目の条件は、給与・家・車などの財産の差し押さえにあっていないことです。
これまでに借金を長期間滞納し、すでに裁判所へ訴えられて財産を差し押さえられている場合、任意整理は難しくなります。
借金を滞納すると、裁判所から督促が届きます。2週間以内に異議申し立てをしないと裁判所で認められ、債権者は強制執行(=差し押さえ)ができるようになるのです。
異議申し立てをして差し押さえを避ければ任意整理できる可能性はありますが、その後は裁判へ移行するため、費用は余分にかかってしまいます。
つまり、借金を滞納してしまった場合は、債権者が裁判所へ訴える前に弁護士へ相談するのがベストです。
任意整理できる借金とは

任意整理できる借金とできない借金の一覧は次のとおりです。
任意整理できる借金 | ・金融機関や銀行のカードローン ・クレジットカードの支払い(リボ払い・分割払い・キャッシング) ・個人からの借り入れ ・会社間での借金 ・ギャンブルによる借金 など |
任意整理できない借金 | ・税金 ・保険料 ・公共料金 ・慰謝料 ・養育費 など |
任意整理では借金の理由は問われないため、個人間や会社間、ギャンブルによる借金でも整理できます。
一方、税金や保険料のような公共性の高い支払いは、社会の公平性を保つ目的から任意整理が認められていません。
基本的に、債務整理しても税金などの支払いは免除されないため、分割払いや納付期間の延長などを検討する必要があります。
任意整理できない・向いていないケース

次のような任意整理できない・向いていないケースもあるため、注意が必要です。
- 借金に連帯保証人や担保がついている
- 借金の額が大きすぎる
- もともとの借金の金利が低い
1つずつ解説します。
借金に連帯保証人や担保がついている
借金に連帯保証人や担保がついている場合は、任意整理に向きません。
債権者からすると、保証人や担保によって借金の回収が見込めるため、任意整理に応じない可能性が高いのです。
また、自分にとっても保証人に迷惑をかけたり、担保として車や家を失ったりするため、あえて任意整理を選ぶメリットがありません。
そのため、基本的には、保証人や担保がついている借金は任意整理の対象から外すといいでしょう。
借金の額が大きすぎる
収入に対して借金額が大きすぎる場合も、任意整理には向きません。
任意整理でできるのは将来利息のカットのみで、元金は減らせないことから、任意整理しても減額幅が小さく、あまり意味がない可能性があります。
また、債務整理後は借金を3〜5年で返済する必要があるため、月々の支払いが無理のない金額になるかが重要です。借金の返済額は、手取り収入の2割までに抑えるといいでしょう。
月々の返済が苦しいほど借金額が大きい場合は、個人再生や自己破産を検討するのがおすすめです。
もともとの借金の金利が低い
任意整理は利息をカットする手続きのため、もともと金利が低い、次のような借金には向きません。
借金の種類 | 金利の相場 |
奨学金 | 0.7〜1.3% |
カーローン | 1〜5% |
住宅ローン | 0.3〜1.6% |
上記の借金では、利息をカットしたとしても、返済額がほとんど減らない可能性があります。
それどころか、任意整理で支払う弁護士費用のほうが高くつく可能性もあり、デメリットのほうが大きいため注意してください。
任意整理で債権者が交渉に応じてくれないケース

任意整理で債権者が交渉に応じてくれないケースが多いのは、次のような場合です。
- 返済実績がほとんどない
- 安定収入がない・生活保護を受けている
- 財産の差し押さえにあっている
返済実績がほとんどない場合、本当に返済ができるのかを疑問視され、和解できない可能性があるでしょう。まずは少額ずつでも返済を続け、実績を作る必要があります。
また、滞りのない支払いと、3年から5年での完済が必須になるため、安定収入がない人や生活保護を受けている人も和解は難しくなります。
支払い能力がない場合は、自己破産がもっとも有力な手続き方法です。
そのほか、すでに借金を滞納していて訴訟を起こされ、財産の差し押さえにあっている場合も、任意整理できる可能性は低いといえます。
任意整理で差し押さえは解除できないため、個人再生か自己破産へ移行することになるでしょう。
任意整理に応じない業者はある?
ほとんどの業者は任意整理に応じてくれますが、中には応じてくれない業者も存在します。
理由は、債権回収のみを目的としていたり、会社の方針だったりとさまざまです。
とはいえ、実際に応じてもらえるかは状況によって異なり、実際に交渉してみないとわからない部分も多くあります。
交渉できそうか、和解できそうかの判断は経験に大きく左右されるため、任意整理の経験が豊富な弁護士に依頼するといいでしょう。
任意整理の具体的な期間と費用

任意整理にかかる期間は3〜6ヵ月程度で、費用は債権者1社あたり5~15万円が目安です。
費用の内訳と目安、支払いのタイミングを一覧にまとめました。
費用の種類 | 金額の目安 | 支払いのタイミング |
相談料 | 0~1万円 | 相談時 |
着手金 | 2~5万円/社 | 依頼時 |
解決報酬金 | ~2万円/社 | 和解成立後 |
減額報酬金 | 借金の減額分の10% | 和解成立後 |
過払い金の返還報酬 | 回収額の20~25% | 過払い金受領後 |
※上記以外に、事務所によって書類作成や郵送費、交通費などの実費が含まれる場合があります。
相談料は無料の事務所が多く、ほとんどは着手金と報酬金としてかかります。
裁判費用がない分、個人再生や自己破産よりもリーズナブルですが、債権者ごとに費用がかかるため注意が必要です。
弁護士費用は分割払いができるため、支払えるか不安な人は事前に相談するといいでしょう。
任意整理の費用をより詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
▼関連記事
任意整理に必要な費用とは?分割払いは可能?基本からわかりやすく解説!
任意整理が向いている人とは

任意整理が向いているのは、次のような人です。
- 保証人に迷惑をかけずに借金問題を解決したい
- リボ払いで借金が膨らんでしまった
- 家や車など残したい財産がある
- 時間をかけずに手続きしたい
- 周囲にバレたくない
1つずつ詳しく解説します。
保証人に迷惑をかけずに借金問題を解決したい
任意整理は、保証人に迷惑をかけずに借金を整理したい場合におすすめです。
個人再生や自己破産の場合、すべての借金が対象となり、債務整理すると返済義務が保証人に移ります。
保証人の借金は減額できない上、一括返済が求められるため、最悪の場合は保証人も債務整理するしかなくなるケースもあります。
一方、任意整理は整理する借金を選択できるため、保証人がついている借金だけを外すことも可能です。
リボ払いで借金が膨らんでしまった
任意整理は、リボ払いで借金が膨らんでしまった場合に向いています。
任意整理は元金ではなく、将来利息をカットする方法のため、高い利率で返済している人ほど効果を発揮しやすいのです。
クレジットカードのリボ払いは、実質年率15%程度の高利率です。任意整理で将来利息をカットできれば、月々の返済額が大幅に減る可能性があります。
家や車など残したい財産がある
家や車など残したい財産がある場合も、任意整理を選ぶのがおすすめです。
個人再生では、条件を満たすと住宅ローン支払い中の家を残せますが、返済額が大きくなりやすい欠点があります。
また、自己破産では最低限の家具や家電は残せるものの、家や車、99万円以上の現金、20万円以上の預貯金などは没収され、借金返済にあてられます。
任意整理の場合、住宅ローンや車のローンを対象から外すことで、家や車を保有したまま借金の整理が可能です。
時間をかけずに手続きしたい
任意整理は、かかる手間や時間をなるべく抑えたい人にも向いています。
手続きにかかる期間は3〜6ヵ月程度で、個人再生や自己破産に比べると短めです。
また、裁判所まで出向く必要もなく、必要書類も少ないため、書類を集める手間もかかりません。
弁護士に依頼すると、和解案の作成や債権先との交渉もすべて任せられます。
そのため、債務整理の中ではもっとも手軽な手続きといえるでしょう。
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周囲にバレたくない
債務整理したことを周囲にバレたくない場合も、任意整理を選ぶのがおすすめです。
給与の振込口座やメイン口座の借金を除外すれば、職場や家族にバレるリスクを抑えられます。
また、裁判所での手続きがないことから、裁判所の書類が届いて家族にバレることもありません。
事務所からの郵送書類も、バレないように工夫してくれるケースもあるため、事前に相談しておくといいでしょう。
任意整理の条件に合わない場合はどうする?

任意整理の条件に合わない場合は、次の対処法を試してみてください。
- 個人再生や自己破産を検討する
- 弁護士に相談する
それぞれ詳しく解説します。
個人再生や自己破産を検討する
任意整理できない場合は、個人再生や自己破産を検討してください。
個人再生は、裁判所を通して借金を1/5〜1/10に減額し、残りを3〜5年かけて返済する方法です。
減額幅が大きく、条件を満たせば家や車などの資産を残せるのがメリットですが、すべての借金を整理するため保証人への影響は避けられません。
自己破産は、裁判所へ申し立てて借金の支払い義務を免除してもらう方法です。
生活に必要な最低限の家具家電や現金は手元に残り、成立すればその後の返済がなくなるため、生活を立て直しやすいのがメリットです。
ただし、車や家などの高価な財産は没収されるほか、ギャンブルや投資が原因の借金では認められません。
どちらが自分に向いているかを判断するのは難しいため、無料相談を利用して弁護士に相談するといいでしょう。
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自己破産したらどうなる?費用や流れなど基礎知識をわかりやすく解説
弁護士に相談する
任意整理の条件を満たしていない、または任意整理に向いていないかもしれないと感じたら、まずは弁護士に相談してみるのがおすすめです。
債務整理は、借金額や収入、借り入れ先の数など、状況によって取るべき対応も異なります。
債務整理の経験豊富な弁護士なら、自分にとって最適な方法を提案してくれるでしょう。
任意整理におすすめな弁護士や選び方については、以下の記事も参考にしてください。
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任意整理で弁護士事務所を選ぶポイントは?費用や初回相談についても解説
任意整理の条件でお悩みなら弁護士にご相談ください

任意整理するためには、債権者が交渉に応じてくれることを前提に、安定収入や一定の返済実績が求められます。
中には交渉に応じない業者がいたり、税金など任意整理できない借金もあったりするため、注意が必要です。
また、借金額が大きすぎる場合や金利が低い場合も、任意整理には向きません。この場合は、他の債務整理手続きを検討するべきでしょう。
反対に、任意整理できる条件を満たした上で「家族バレを防ぎたい」「財産を残したい」「時間や手間をかけたくない」といった場合には、任意整理がぴったりです。
任意整理が自分に向いているかわからない場合は、弁護士に相談してみてください。
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