自己破産するならタンス貯金は申告しよう!バレる理由やリスクを解説
投稿日: 2025.05.02 | 更新日: 2025.05.02

「自己破産でタンス貯金はバレる?」
「タンス貯金は財産隠しになるの?」
自己破産しても、タンス貯金ならバレないと考える人は少なくありません。
しかし、実際には調査でバレる可能性は高く、きちんと申告する必要があります。
この記事ではタンス貯金がバレる理由や、バレてしまったときのリスクを解説します。
タンス貯金を少しでも残したいときの対処法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
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自己破産ではタンス貯金も必ず申告が必要

前提として、自己破産すると20万円以上の預貯金と、99万円以上の現金は没収されます。
そのため、口座にお金を入れておくよりも多く財産を残せると考え、タンス貯金をして申立時に申告しなければよいのでは?と考える人もいます。
しかし、当然ながらタンス貯金も立派な財産にあたるため、現金としてきちんと申告が必要です。
自己破産の種類
そもそも自己破産とは、裁判所の決定で借金の返済義務を免除してもらう制度で、次の3種類があります。
同時廃止事件 | 財産がない場合に適用申立と同時に破産手続きが廃止決定される |
管財事件 | 財産がある場合に適用破産管財人が選任される |
少額管財事件 | 財産があるが少ない場合に適用 |
貯金や現金がまったくない場合は同時廃止事件、家や車などの高額な財産があれば管財事件となります。
ただし、管財事件は破産管財人への報酬として費用が膨らみやすいため、財産が少ない場合は少額管財事件になるケースも増えています。
タンス貯金の没収対象になる基準
基本的には、財産が20万円以上あれば少額管財事件または管財事件として扱われ、タンス貯金の没収対象になる可能性があります。
20万円が基準なのは、ほとんどの裁判所で、約20万円あれば破産手続きができるためです。
ただし、次のように裁判所によって細かい運用は異なります。
裁判所 | 少額管財事件または管財事件になる基準 |
東京地裁 | 現金を33万円以上持っている、または現金以外の財産が20万円以上ある |
大阪地裁横浜地裁 | 車や株などの個別の財産が20万円を超えている |
名古屋地裁 | 車や株などの個別の財産が30万円を超えている、または合計額が40万円を超えている |
福岡地裁広島地裁 | 財産の総額が50万円を超えている |
自分が申立てる地域ではどのような基準になっているか、弁護士に確認するといいでしょう。
どこまで調べられる?タンス貯金がバレる理由

タンス貯金がバレるときは、次のような原因が考えられます。
- 裁判所の細かい調査が入る
- 不自然な現金引き出し履歴がある
- 保険を解約している
- 郵便物を破産管財人にチェックされる
1つずつ確認してみてください。
裁判所の細かい調査が入る
自己破産を申し立てると、財産や収入について裁判所の細かい調査が入るため、不審な点があればバレてしまいます。
申立時には、次のように多くの書類の提出が必要です。
- 過去2年分の預貯金通帳の取引履歴
- 給与明細
- 源泉徴収票
- 家計簿
- 車検証
- 不動産登記事項証明書
- 保険証券
- クレジットカードの明細
- 通信料金の明細 など
書類の内容についても事情聴取が行われ、財産隠しが疑われた場合は管財事件になり、破産管財人の調査も入ることになります。
すべての収支をきちんと説明できなければ、タンス貯金がバレることに繋がるでしょう。
不自然な現金引き出し履歴がある
不自然な現金引き出し履歴がある場合も、タンス貯金が疑われる原因です。
定期的な引き出しがある場合はもちろん、まとまったお金を一度に引き出していた場合は、裁判所で合理的な説明が求められます。
また、自己破産の直前にお金を引き出すと、タンス貯金に限らず財産隠しを疑われる可能性があるため避けてください。
保険を解約している
保険を解約して返戻金を受け取り、タンス貯金にすることでも、バレる可能性があります。
取引明細を見れば返戻金の支払い履歴がわかるため、何に使ったかを具体的に説明できなければ、タンス貯金が疑われる原因になるでしょう。
破産管財人に郵便物をチェックされる
破産管財人に郵便物をチェックされることも、タンス貯金がバレる原因の1つです。
破産管財人が選任される管財事件の場合、手続き中の破産者宛ての郵便物は破産管財人に転送されます。
そのため、隠していた保険や口座がバレるケースもあります。
自己破産のタンス貯金がバレたときのリスク

自己破産のタンス貯金がバレると、次のようなリスクがあるため注意が必要です。
- 財産隠しと判断される可能性がある
- 免責されない可能性がある
- 刑事責任に問われる可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
財産隠しと判断される可能性がある
タンス貯金は、財産隠しと判断される可能性があります。
自分としては銀行で管理する代わりに、家で管理しているつもりで現金を置いているということもあるでしょう。
しかし、家で管理している場合、お金があることを知っているのはタンス貯金をしている本人だけです。
本人がタンス貯金の有無を言わなければ、周囲の人間にとってはその金額分の財産がないことと同じになり、財産を隠していると同等の行為とみなされるため避けてください。
免責されない可能性がある
タンス貯金が財産隠しだと判断された場合、免責されず自己破産が認められない可能性があります。
自己破産には、「この条件にあてはまった場合は借金を免責しません」という免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)が存在し、財産隠しもその1つです。(出典:破産法252条)
自己破産後を考えてタンス貯金をしていたのに、そもそも自己破産ができなくなれば本末転倒です。
そうなれば借金がなくならないだけでなく、自己破産にかかった数十万円の費用も無駄になってしまうため、注意してください。
刑事責任に問われる可能性がある
財産隠しで自己破産が認められないだけでなく、最悪の場合、詐欺破産罪として罰せられる可能性もあります。(出典:破産法265条)
わざと借金を返さないなど、債権者を害する目的で悪質な財産隠しをすると、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が課せられる恐れがあるのです。
実際に、8億円相当の財産を隠そうとして懲役3年・執行猶予5年の実刑判決を受けた例もあるため、タンス貯金はきちんと申告することが大切です。
出典:裁判所
自己破産で残せる財産とは

自己破産しても残せる財産は、次のように定められています。
- 現金:99万円以下
- 預貯金:20万円以下
- 自己破産後に得た財産:貯金可能
- 自由財産の拡張で残せる財産が増えることもある
1つずつチェックしてみてください。
現金:99万円以下
まず、現金は99万円以下まで手元に残せます。(破産法34条・民事執行法131条・民事執行法施行令1条)
ここで言う「現金」は手元にあるお金を指し、銀行に預けている預貯金は含まれません。
つまり、タンス貯金がある場合も現金に含まれるため、注意してください。
預貯金:20万円以下
預貯金は、20万円以下まで手元に残せます。
これはすべての口座残高の合計額で、20万円を超えた分は没収対象です。
例えば、銀行口座に50万円の貯金があれば20万円を残し、30万円が没収されることになります。
ただし、残せる金額は裁判所によって異なるため、弁護士に確認してみてください。
自己破産後に得た財産は貯金可能
破産手続きを開始したあとに得た財産であれば、没収されることはありません。
これを新得財産(しんとくざいさん)といい、タンス貯金にしても大丈夫です。
自由財産の拡張で残せる財産が増えることもある
現金と預貯金のほかにも、「自由財産の拡張」という制度を使うと、残せる財産が増えることもあります。
例えば、自己破産で残せる財産が99万円以下なのは、一般的な家庭に必要な生活費を毎月33万円として、その3ヶ月分と計算されているためです。
このように、裁判所に申し立てて生活に必要な財産だと認めてもらう制度が、自由財産の拡張です。
一例として、東京地裁では次の自由財産の拡張が認められています。
- 20万円以下の車・預貯金・保険の解約返戻金
- 電話加入権
- 家財道具 など
このほか、さいたま地裁では、99万円の枠内であれば20万円を超える預貯金も柔軟に拡張を認める傾向があります。
ただし、車を残すためには車がないと生活ができない地域に住んでいるなど、本当に生活に困る場合でなければ認められないこともあります。
各裁判所によって運用が異なるため、弁護士に相談するのが確実です。
自己破産で子どもの貯金はどうなる?

自己破産すると、子どもの貯金に影響があるケースと、そうでないケースに分かれます。
- 実質的な所有者が破産者なら処分対象になることもある
- 学資保険は破産者が支払っていれば没収対象になる
- 子どもの口座に預貯金があると通帳の提出が求められる
1つずつ確認してみてください。
実質的な所有者が破産者なら処分対象になることもある
子どもの貯金がある場合、実質的な所有者が破産者であれば、処分対象になる可能性があります。
基本的に、自己破産で没収対象となるのは申立てた本人の財産ですが、「実質的に誰の財産なのか」が重視されます。
例えば、申立てた親が子どもの将来のために貯金していたお金であれば、実質的に申立てた人の財産だと判断される可能性が高いでしょう。
一方で、子どもがもらったお年玉やおこづかい、バイト代を子ども自身が貯めていた場合は、子どものお金だといえるため処分対象にはなりません。
学資保険は破産者が支払っていれば没収対象になる
学資保険も、申立てた親が支払いをしていたり受取人になっていたりすれば、没収の対象です。
保険の被保険者は子どもでも、契約者や支払い、受取人は親に設定していることがほとんどでしょう。
学資保険の解約返戻金が20万円以上あれば、親の財産として処分されてしまいます。
子どもの口座に預貯金があると通帳の提出が求められる
自己破産時には本人の通帳提出が必要ですが、次に当てはまるような場合は、子どもの口座の通帳提出も求められます。
- 家計の収支に子どもの口座を利用している
- 子どもの口座に入金してもらった祖父母からの仕送りで生活している
- 子どもの口座から引き落としをしている
- 子どもの口座に多額の貯金がある
家計に子どもの口座が関係していたり、子ども自身のバイト代やお年玉など以外で多額の貯金があったりすると財産隠しが疑われるため、きちんと申告することが大切です。
自己破産時のタンス貯金は必ず申告しよう

自己破産すると20万円以上の預貯金と99万円以上の現金は没収され、タンス貯金もその対象です。
タンス貯金は現金に含まれるため、隠さずきちんと申告しなければなりません。
タンス貯金は書類調査や保険解約、郵便物のチェックなどでバレることがほとんどです。
すると財産隠しと判断され自己破産が認められなかったり、刑事責任に問われたりする可能性もあります。
タンス貯金をしていて対処方法に悩んだ場合は、弁護士に相談してアドバイスをもらうのがおすすめです。
自己破産を成功させて暮らしを楽にするためにも、タンス貯金はきちんと申告してください。
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