個人再生で官報に載ると職場にバレる?掲載期間や注意点を解説
投稿日: 2025.05.27 | 更新日: 2025.05.27

「官報に載って会社や家族にバレるのは避けたい」
「官報に載る期間や内容は?」
個人再生すると、計3回官報に掲載されます。その際周囲にバレないかや、どんな内容が載るのが心配な人もいるでしょう。
この記事では、個人再生して官報に載るとどうなるのかを解説します。
掲載内容や期間・閲覧方法・費用・掲載されるタイミングなども詳しく紹介するため、官報に載る影響が気になる人はぜひ参考にしてください。
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官報に掲載されても個人再生が職場にバレる可能性は低い

個人再生した事実が官報に掲載されても、そこから職場にバレる可能性は低いといえます。
官報は一般の人が日常的に閲覧するものではなく、チェックするのは役所の税務担当者や金融機関関係者など、一部の人のみです。
また、官報は昭和22年から発行されておりデータ量が膨大なため、特定の情報を探し出すだけでも一苦労です。
くわえて、個人再生の申立てで会社に通知がいくこともないことから、会社に隠したまま個人再生することは十分可能だといえるでしょう。
そもそも官報とは?

官報とは、日本国政府が発行する国の広報誌のことです。
法令や各官公庁の広告などを、国民に広く周知するための公式な媒体として、行政機関の休日以外は毎日発行されています。
2025年4月から電子データが正本となりましたが、法律関係の情報が載った新聞をイメージするとわかりやすいでしょう。
個人再生したことを官報に掲載する目的は、すべての債権者にその事実を知らせるためです。
万が一調査に漏れがあった場合、知らなかった債権者は返済を受けられなくなる可能性があります。そのような事態を防ぐため、官報への掲載で権利を平等にする機会を設けているのです。
個人再生すると必ず官報に掲載するよう、民事再生で定められているため、掲載の拒否はできません。
出典:官報の電子化について
官報の掲載内容
官報に掲載される情報は、主に次のものがあります。
- 法律・政令・条約などの公布
- 破産・個人再生・失踪宣告など裁判所の公告
- 会社の合併・解散・決算公告など会社法に基づく公告
- 入札・落札など各種公告
一方、個人再生における掲載内容は次のとおりです。
- 住所・氏名
- 開始決定の日時
- 開始決定の主文
- 再生債権の届出期間
- 一般異議申述期間
- 決定をした裁判所名
借金の金額や理由を書く欄はないため、他の人に知られる心配はありません。
出典:官報について
官報の掲載期間
官報に掲載された情報は、永久的に記録されます。
インターネット版官報の場合は、掲載日から90日間は無料で閲覧できますが、その後は有料会員のみとなります。
なお、一度掲載された情報を削除することはできません。
官報を閲覧する方法
官報を閲覧する方法は、主に次の3つです。
方法 | 詳細 |
各都道府県の官報サービスセンターからの書面交付 | 購入費用: 定期送付手数料2,000円 + 配送料2,464円 = 4,464円 |
インターネット | 官報発行サイト:直近90日間の官報をすべて閲覧・ダウンロード可能 官報情報検索サービス:昭和22年から直近の情報を日付検索と記事検索可能 月額2,200円 |
図書館 | 国立国会図書館デジタルコレクション: 明治16年7月2日〜昭和27年4月30日までの官報を閲覧可能 |
書面交付を受けたり、インターネット版で直近90日以前の情報を見たりするのは有料になります。
無料で閲覧するには、国立国会図書館や一部の公立図書館に保存されている官報を利用すると便利です。
また、「官報情報検索サービス」を契約している図書館であれば無料で利用できるため、近くの図書館で確認してみるといいでしょう。
個人再生で官報に掲載されるタイミングは3回

個人再生で官報に掲載されるタイミングは、次の3回です。
- 1回目:申立てから約1ヶ月後の開始決定時
- 2回目:申立てから約3~4ヶ月後の書面決議または意見聴取時
- 3回目:申立てから約5ヶ月後の認可決定時
それぞれ詳しく確認してみてください。
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1回目:申立てから約1ヶ月後の開始決定時
1回目の掲載は、申立てから約1ヶ月後の開始決定時です。
個人再生を裁判所に申立て、審査を経て再生手続開始決定が出ると、その決定内容が官報に掲載されます。
これは、債権者に個人再生手続きが始まったことを知らせ、債権届出期間内に自分の債権(貸しているお金)を届け出るよう促すことが目的です。
2回目:申立てから約3~4ヶ月後の書面決議または意見聴取時
2回目の掲載は、申立てから約3~4ヶ月後の書面決議または意見聴取時です。
再生計画案を裁判所に提出し、債権者の意見を聞く段階で2回目の官報掲載があります。
小規模個人再生の場合は、債権者が再生計画案に反対できる機会を設けること、給与所得者等再生の場合は意見を述べる機会を設けることが目的です。
3回目:申立てから約5ヶ月後の認可決定時
3回目の掲載は、申立てから約5ヶ月後の認可決定時です。
裁判所が再生計画案を認可したときに、3回目の官報掲載があります。
これは最終的に再生計画が認可されたことを債権者に周知し、手続きの完了を知らせることが目的です。
官報への掲載で影響が出る可能性のある職種

官報への掲載により、影響が出る可能性のある職種は次のとおりです。
- 金融機関
- 不動産
- 弁護士・司法書士などの士業
- 公務員
上記の職種は一部で官報をチェックする業務があるため、そこから同僚や上司にバレる可能性がゼロではありません。
そのため、役所の税務担当者や銀行員として働いている場合は注意が必要です。
官報の掲載だけで、懲戒や解雇などの不利益を受けることはないものの、通常よりもバレるリスクが高いことは覚えておいてください。
個人再生で官報へ掲載される際の注意点

個人再生で官報へ掲載される際は、次の点に注意が必要です。
- 信用情報に事故情報が登録される
- 官報広告費用を負担しなければならない
- 闇金業者に勧誘される可能性がある
順番に解説します。
信用情報に事故情報が登録される
官報の掲載情報は信用情報機関にも共有され、事故情報が登録されます。
するといわゆるブラックリストとなり、完済後5〜7年はカードの利用や借入ができません。
この間は、クレジットカード以外の支払い方法で乗り切る必要があるでしょう。
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官報広告費用を負担しなければならない
官報の掲載時には、官報広告費用を負担しなければなりません。
金額は小規模個人再生か給与所得者再生かや、裁判所によって異なります。
例えば、横浜地裁では次のように設定されており、おおむね1万数千円程度です。
納めるタイミング | 小規模個人再生 | 給与所得者再生 |
再生手続開始決定時 | 4,816円 | 4,816円 |
付議決定時 | 4,112円 | – |
意見聴取決定時 | – | 4,816円 |
認可決定時 | 4,816円 | 4,112円 |
合計 | 13,744円 | 13,744円 |
広告費は、予納金として申立て時に裁判所に納めます。
原則一括払いで、支払わないと申立てができないため注意してください。
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闇金業者に勧誘される可能性がある
官報に掲載されると、闇金業者に勧誘される可能性もあります。
官報を見ると個人再生した人の住所や氏名がわかるため、ブラックリストになってお金を借りられない人に対し、業者が違法な高金利で貸付けをしようとする場合があるのです。
DMなどが送られてきても、絶対に応じないようにしてください。
官報以外で個人再生が職場にバレるケース

官報に掲載される以外にも、次のことが原因で個人再生したことが職場にバレる可能性があります。
- 勤務先から借入をしている
- 退職金見込額証明の発行を依頼した
- 給与の差し押さえがあった
- 給与の振込口座と借入先が同じで銀行口座が凍結された
勤務先から借入をしていると、会社あてに弁護士の受任通知や再生手続開始通知書が送付されるため、バレやすくなるでしょう。
また、個人再生で必要な退職金見込額証明を会社に依頼した場合、発行理由を聞かれることもバレる理由の1つです。正直な理由を言わなくても、住宅ローンや教育ローンの手続きに必要だと伝えれば大丈夫です。
そのほか、個人再生後の返済を長期間滞納した場合、給与を差し押さえられるため会社にもバレてしまいます。そうならないよう、きちんと返済を続けてください。
さらに、個人再生すると借り入れのある銀行口座は凍結されるため、給与の振込口座と借入先が同じ場合はそこからバレる可能性もあります。可能であれば、あらかじめ振込口座を変更しておくといいでしょう。
周囲にバレたくない人は、官報以外にも上記の点に気を付けて手続きを進めてください。
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官報に載らずに済む債務整理の方法

どうしても官報に載りたくない場合は、任意整理するのがおすすめです。
任意整理は裁判所を通さず、債権者と直接交渉し、利息のカットや返済期間の見直しをする手続きです。
必要書類が少ないことや、整理する借金を選べることから、家族や職場に知られずに借金を整理したい人に向いています。
ただし、個人再生に比べると減額幅は少なくなる可能性があるため、自分のケースに合うかどうか弁護士に相談してみてください。
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任意整理とは?後悔しないために知っておきたいメリットや注意点などわかりやすく解説!
個人再生の官報掲載は心配不要!まずは弁護士に相談を

個人再生すると官報への掲載は避けられず、載った内容は永久的に保存されます。
しかし、実際にはごく一部の人しかチェックしないため、そこから職場にバレる心配はほぼありません。
官報への掲載を避けたい場合は、任意整理することも検討してみてください。
とはいえ、官報に載ることの影響は少なく、個人再生するメリットのほうが大きいといえます。
安心して弁護士に相談してみてください。
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